2025.12.17

アームチェアとアームレスチェア5脚/ 生地の張り替えとブレード交換

BEFORE

AFTER

修理内容

種類
ダイニングチェア
施工方法
生地の張り替え
修理工賃
¥30000〜¥60000
お預かり期間
4週間
配送方法
自社便
依頼地域
東京都渋谷区
修理内容

東京都渋谷区にお住まいのお客様よりご依頼いただいた、ブレード(飾り紐)仕上げのダイニングチェアの張替え事例をご紹介します。

お預かりしたのは、クラシックなストライプ柄のダイニングチェア5脚です。

アーム(肘掛け)付きが3脚、アーム無しが2脚になります。

長年の愛用により、座面のクッション性や生地の汚れや変色が気になります。

そこで今回は、イメージチェンジを含めた張替えのご依頼をいただきました。

  1. 現状と課題:クラシックからの脱却と継承

施工前の椅子は、ゴールド系のストライプ柄の生地が張られていました。

この生地もクラシックの趣があり木枠との相性も素敵でしたが、汚れや色褪せが目立ち経年劣化が否めませんでした。

また、この椅子の大きな特徴として、座面の縁に**「ブレード(飾り紐)」**があしらわれています。

ブレード仕上げは、生地を留めるタッカー(針)の頭を隠すと同時に、椅子全体の輪郭を美しく引き締める装飾的な役割を果たします。

このブレードはまだしっかりと生地の周りに接着されていましたが、今回の張り替えの際には生地の色も変わるので、新しい物に交換します。

お客様が選ばれた生地はシンコールのファブリックシリーズ「デパコス」になります。

  1. シンコール「デパコス」による2色張り分け

今回張替えに使用した生地は、シンコールのカタログ『テキスタイル2023』に掲載されている「デパコス」という生地になります。

生地の概要はこちらから

 

この生地の特徴は、2色使いの幾何学模様と、それでいてサテン系の光沢のある生地では無いので暖かみやナチュラルな印象も感じられる生地になっています。

 

今回、5脚すべてを同じ色にするのではなく、椅子に合わせて色を変える「張り分け」を行いました。

  • アーム付きチェア(3脚):T-9542(赤茶系) アームチェアには、深みのある赤茶色(テラコッタブラウン)をセレクト。

木のフレーム色との馴染みが良く、空間に落ち着きと温かみが出るかと思います。

  • アーム無しチェア(2脚):T-9541(淡いブルー系) アームレスチェアには、清涼感のあるペールブルーを。

赤茶とのコントラストが奇麗で、赤茶の生地に比べて爽やかさがあります。

このように、同柄・色違いでコーディネートすることで、セットの椅子としての統一感を保ちつつ、椅子を置く空間の素敵なアクセントにもなりそうです。

  1. ブレード仕上で「最後の化粧」

張替え作業において、生地を張り込むのはもちろんですが、今回は「ブレードの取り付け」作業が最後にあります。

一般的なパイピング仕上げや玉縁仕上げとは異なり、ブレードは「後付け」の装飾です。

まず生地をタッカーで固定し、その針が留められているラインの上に、ブレードを固定していきます。

  1. 生地の柄

さて、今回使用した「デパコス」の柄について見ていきましょう。

この柄は日本の伝統文様である**「工字繋ぎ(こうじつなぎ)」**にもよく似ています。

生地の柄は、直線が直角に折れ曲がりながら無限に連結していく、迷路のようなデザインです。

これは「雷紋」や「紗綾形」など、古今東西のテキスタイルに見られる美しさを持っています。

一見するとモダンなデジタルパターンのようにも見えますが、そのルーツには伝統的な「繋ぎ文様」の精神が息づいています。

「デパコス」柄と似ている伝統文様 5

「この柄、どこかで見たことがあるけれど、名前が分からない」。そんな方のために、今回の生地の柄と類似性のある、代表的な5つの幾何学模様をご紹介します。

それぞれの柄のイメージ写真と合わせてご覧ください。

工字繋ぎ(こうじつなぎ)

【解説】 漢字の「工」の字を斜めに崩し、連続させて繋げた文様です。「工」の字が繰り返されることから、不断長久(絶えず長く続くこと)家の繁栄や長寿を願う吉祥文様として、古くから着物や建築の建具などに使われてきました。今回の「デパコス」のベースとなっている構造に最も近いです。

紗綾形(さやがた)/卍崩し

【解説】 「卍(まんじ)」という字を斜めに崩して連続させた文様です。桃山時代に明(中国)から伝わった「紗綾(さや)」という絹織物にこの柄が使われていたことから名付けられました。端正で品格があり、武家の女性の着物などによく用いられました。迷路のような複雑さが特徴です。

雷紋(らいもん)

 

【解説】 ラーメンの器の縁でおなじみの、四角い渦巻き模様です。稲妻(雷)を象ったもので、雨をもたらし五穀豊穣を願う意味が込められています。古代中国の青銅器にも見られる非常に古い文様で、ギリシャ雷文(ミアンダー)とも共通する、世界的な普遍性を持つ幾何学模様です。

亜字繋ぎ(あじつなぎ)

【解説】 漢字の「亜」の字を変形させ、連続させた文様です。「工字繋ぎ」と非常によく似ていますが、より線が複雑に入り組み、正方形に近いブロックが積み重なったような印象を与えます。中国の組子細工などによく見られる、構築的で堅牢なイメージの柄です。

網代(あじろ)/檜垣(ひがき)

【解説】 木や竹の薄板を斜めに編んだ形状を図案化したものです。直線の組み合わせですが、編み込むことによる立体感や、光の当たり方による濃淡の変化が表現されます。「デパコス」の生地も、織りの凹凸によって柄が浮き出て見える点が、この網代のような「編み」の美学に通じています。

  1. 最後に:家具を「アップサイクル」するという選択

椅子やソファの張り替えは、「リノベーション」でもあり「アップサイクル」でもあると考えています。

古くなったから捨てる、新しいものを買う。

それも一つの選択ですが、長年寄り添った椅子やソファはサイズが今の家にフィットしていたり、座り心地が気に入っていたりと、なかなか新しい最適なものが見つからない。という声もお客様から頂きます。

そして新品の家具には無い、ご家庭の歴史も持っています。

そんなソファや椅子のフレームを活かしつつ、ファブリックやクッションを一新することで、また新たに長く使っていただけます。

特に今回のように、**「あえて色を変える」などや「異素材に変える」などといった冒険ができるのも、オーダーメイドの張替えならではの醍醐味です。

「うちの椅子も張り替えられるかな?」「こんなイメージにしたいのだけど」 そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

お持ちの椅子やソファが新しく生まれ変わるお手伝いをさせて頂きます。

【施工データ】

  • エリア: 東京都渋谷区
  • アイテム: ダイニングチェア 5脚(アーム付き3脚、アーム無し2脚)
  • 施工内容: 座面張替え、ウレタン・クッション調整、ブレード交換
  • 使用生地:
    • アーム付き:シンコール「デパコス」T-9542(赤茶系)
    • アーム無し:シンコール「デパコス」T-9541(ブルー系)
  • 仕上げ: ブレード仕上げ(共色系セレクト)
お客様の声
スムーズに変える事が出来ました。
奇麗になり有難うございました。

使用した生地情報

デパコス T-7008 ¥9800/m

品名
デパコス
品番
T-7008
カタログ
https://sincol-group.jp/digitalcatalog/textile2019/#page24
国名
日本
カラー
ブルー
素材
AC58% PE42%
柄物
生地幅
137㎝
リピート幅
縦3.1㎝/横3㎝
価格帯
~12000円/m以下
価格
¥9800/m
機能性
バックコーティング

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