2026.07.24
フェイクレザーのパーソナルチェア サンゲツの合皮で張り替え修理
修理内容
- 種類
- パーソナルチェア
- 施工方法
- 生地の張り替え
- 修理工賃
- ¥60000〜¥90000
- お預かり期間
- 4週間
- 配送方法
- 自社便
- 依頼地域
- 東京都文京区
- 修理内容
-
修理前の状態
写真の通り、座面と背もたれの表皮が広範囲にわたって白く粉を吹いたようにひび割れ、細かく剥離していました。これはフェイクレザー(合成皮革)によく見られる「加水分解」による劣化現象の一つです。
合成皮革はポリウレタン(PU)などの樹脂をベースにした表面材でできているため、空気中の水分と経年で樹脂が分解され、表面がパリパリと硬化してひび割れ、最終的には粉状に崩れて剥がれ落ちてしまいます。
特に座面の前方や背もたれの中央など、日常的に体重や摩擦がかかる部分ほど劣化が進みやすく、今回のチェアもまさにその通りの状態でした。
木製のアームレストや脚部のキャスター、昇降機構自体は問題なく使えるコンディションだったため、廃棄せずに表皮だけを張り替えて再生させることにしました。
使用した生地について
今回張り替えに使用したのは、サンゲツの椅子生地「UP5156(カラーパレットⅡ/L-Texture)」です。表皮にPVC、裏地にメリヤスを使用したビニルレザーで、有効巾137cmの無地シリーズとして展開されている定番品番になります。
この生地にはいくつかの機能が付与されている点も選定の決め手になりました。
まず「イージークリーン」機能があり、水や中性洗剤で汚れが落ちやすく、日常的なお手入れがしやすいのが特長です。
さらに表面に付着した細菌の増殖を抑制する「抗菌」加工(SIAA抗菌加工認証も取得)が施されており、ISO22196法による評価に基づいて品質管理・情報公開がされている製品であることも安心材料になります。また、アルコール系薬剤・次亜塩素酸(塩素系)薬剤によるメンテナンスにも強い仕様となっており、消毒用のアルコールで拭き上げても表皮が傷みにくいのは、オフィスや店舗など人の出入りが多い環境で使う椅子には嬉しいポイントです。
加えて、日本自動車車体工業会の難燃性素材登録品であり、布張家具等側地としての防炎性能も取得しているため、防炎性能が求められる施設への納品物件にも対応できる仕様です。
もともとの座面・背もたれと同じく黒系のビニルレザーを選んだことで、木製アームや脚部のクロムメッキとの色・質感のバランスも違和感なく仕上がりました。
張り替え用途としてだけでなく、抗菌・イージークリーンといった機能面もあわせ持つ生地なので、長く使ううえでの実用性も高いと感じています。
作業の流れ
まず座面と背もたれを本体フレームから取り外しました。
生地を剥がすためにフレームの溝に打ち込まれているステープルというホチキスの針の様なものを1本1本抜いていきます。
溝に入っているステープルを抜いていくには時間の掛かる作業ではありますが、これを抜かないことには次に進めません。
この針抜きが実は時間のかかる地道な作業で、古いチェアほど針の数が多かったりと、できるだけ効率よく確実に進める必要があります。
古い表皮を外した後は、中のウレタンクッションの状態を確認しました。
今回は大きなへたりや破損はなかったため、現状のクッションに新しいウレタンクッションを足し増しています。
もしクッション材が潰れていたり黄ばんでボロボロに劣化している場合は、このタイミングで新しいウレタンに交換すると仕上がりの座り心地が格段に良くなります。
続いて新しく型を取り、裁断後に縫製をした合成皮革を、座面・背もたれの形に合わせて張り込んでいき、たるみやシワが出ないよう生地を張りながらタッカーで固定していきます。
張り込みが完了したら、フレームに座面・背もたれをビスで再度取り付けて完成です。
仕上がりと感想
劣化してひび割れていた黒いフェイクレザーが、しっとりとした質感の新しい黒革(合成皮革)に生まれ変わりました。
木製アームの経年による飴色の風合いはそのまま活かせたので、新品然としすぎず、味わいを残しつつ清潔感のある印象に仕上がったと思います。
フェイクレザーの椅子は数年〜十年ほどで加水分解によるひび割れが起きやすい消耗品ですが、フレームやクッション、脚部の機構が生きていれば、表皮だけの張り替えで十分に再生可能です。
買い替えるよりも安価に済むケースも多く、愛着のある家具を長く使いたい方にはおすすめの修理方法です
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