2026.02.10
ダイニングチェアの座面 フェイクレザー(合皮)の剥がれ 張り替え修理
修理内容
- 種類
- ダイニングチェア
- 施工方法
- 生地の張り替え
- 修理工賃
- ¥10000〜¥30000
- お預かり期間
- 3週間
- 配送方法
- 自社便
- 依頼地域
- 東京都新宿区
- 修理内容
-
新宿区のお客様よりご依頼いただいた、ダイニングチェア2脚の座面張り替え施工に関する張り替え事例になります。
日常的な使用による座面のフェイクレザーの劣化があり、それを解消するため、張り替え修理をさせて頂きました。
修理前と後ではどの様に椅子が変わったか、また生地選びの過程でどの様な点を考慮すると良いのかなど、同じような症状でお困りの際にはこの修理事例からヒントを得られると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.椅子の張替え前の状態
今回のご依頼は、東京都新宿区の個人宅で使用されているダイニングチェア2脚です。
お預かりした際の椅子の状態は、座面表面のフェイクレザーが広範囲にわたって表面が剥離し、中の基布が露出している状態でした。
ダイニングチェアは、家庭内でも特に使用頻度が高く、着座した時の摩擦、体温による熱、皮脂、そして食事の際の汚れなど、いろいろな負荷がかかる環境にあります。
フレーム自体は木製で歪みやガタ付きもなかったため、座面の「張り地」と「ウレタン」を交換することで、椅子の生地の状態と座り心地を戻して行きました。
2.フェイクレザー(合成皮革)が劣化する理由
「フェイクレザーがボロボロになる」という現象には、理由があります。これを知ることで、次回の素材選びやメンテナンスの指標となります。
主な劣化原因:加水分解と皮脂
合成皮革の表面を構成する樹脂は、時間とともに空気中の水分や湿気と反応し、表面に加工されているものが分解される「加水分解」を起こします。湿度の高い日本の住環境では避けられない現象の一つです。
また、着座時に付着する皮脂や汗などの成分が残留することで、表面の可塑剤(柔軟性を保つ成分)が抜け、素材が硬化・ひび割れ等を起こします。これが進むと、表面が鱗状に剥がれ落ちる結果となります。
3.素材の選定:PVCとPU、それぞれの特性と最適解
合皮生地を選ぶ際には、「PVC(塩化ビニル樹脂)」と「PU(ポリウレタン樹脂)」の主に2つの素材がありますが、どちらが良いのかという点です。
結論から言うと、どちらかが優れているわけではなく、使用環境や目的によって「最適な選択」が異なるということです。
それぞれの特性を比較し、用途に応じた選び方を整理します。
【素材特性の比較】
項目 PVC(塩化ビニルレザー) PU(ポリウレタンレザー) 質感・触感 比較的硬めで、しっかりしたコシがある 柔らかく、しっとりとして本革に近い質感を得られる 耐久性(表面) 摩擦やひっかき傷に強く、堅牢 ソフトな反面、鋭利なものには弱い 耐薬品性 アルコールや次亜塩素酸に強いものが多い 薬品や水分に弱く、加水分解しやすい 通気性 ほとんどない(蒸れやすい場合がある) 比較的あり、肌馴染みが良い メンテナンス 中性洗剤や消毒液での清掃が可能 基本的には乾拭き。 どちらを選ぶべきか
- PVCが適している環境: 小さなお子様がいる家庭、ペットを飼っている環境、あるいは医療・飲食施設など。頻繁に水拭きやアルコール消毒を行う必要がある場合、PVCの堅牢性と耐薬品性などが大きなメリットとなります。
- PUが適している環境: 書斎の椅子や高級ソファなど、長時間の着座において「肌触り」や「蒸れにくさ」を最優先したい場合。本革に近い質感をリーズナブルに楽しみたい、かつ湿気管理が可能な環境に適しています。
今回の新宿区のお客様は、日常のダイニングでの使用において、衛生面(拭き掃除のしやすさ)と長期的な耐久性を重視されたため、PVC系の素材を選定しました。
4.採用生地の詳細:シンコール「サンセブン」L-6754
今回、張替えに使用した生地はシンコールの「サンセブン(L-6754 黒)」になります。
特徴:アンティーク加工
サンセブンシリーズの特徴は、黒の単一色ではなく、わずかにムラ感を持たせたアンティーク加工です。ヴィンテージな雰囲気も上品に演出してくれます。
機能
お値段はリーズナブルながら、以下の機能を備えています。
- 難燃性: 燃えにくい素材になっているので、多方面の環境下で安心です
- 耐次亜塩素酸・耐アルコール: 昨今の衛生管理において必須となった、消毒液等での拭き取りに対応。素材が硬化しにくい設計です。
- PVCの利点: 吸水性が低いため飲みこぼしなどが染み込みにくく、食事の際のこぼし跡なども迅速に清掃可能です。
- 作業のプロセス
表面の張り替えだけでなく、内部のクッション材(ウレタン)の修理も、椅子の張替えにおける重要な工程です。
① 椅子の分解
既存のタッカー針を一本ずつ抜き取り、古い生地と粉状に劣化したウレタンを除去します。
この際、土台となる座面板(合板)に割れや腐食がないかを確認し、必要に応じて補強や清掃を行います。
② ウレタンの2層構造化
座り心地を「点」ではなく「面」で支えるため、2種類のウレタンを組み合わせました。
- チップウレタン(下層): 硬く密度の高いチップウレタンをベースに敷くことで、着座時の「底付き」を防ぎ、耐久性を高めます。
- スラブウレタン(上層): その上に適度な弾力のあるスラブウレタンを重ねることで、最初に座った時のソフトな感触を作り出します。
③ 張り込みと仕上げ
「サンセブン L-6754」を適切なテンションで張り込んでいきます。引っ張りすぎると柄が歪み、弱すぎるとシワの原因になります。
角の処理にも気を使い仕上げることで、フレームに収めた際のフィット感が高まります。
張り替えや修理をすること
椅子やソファを修理して使い続けることは、節約以上の価値があると考えています。
1.コストパフォーマンス: 製品によっては同等の品質(多機能な生地や多層ウレタン)を備えた椅子を新調する場合と比較し、張り替えは費用を抑えつつ、スペックの高い座り心地を手に入れることができます。
2.既存フレームの活用: 長年使用して体に馴染んだ、あるいは部屋のサイズにぴったりなフレームを廃棄することなく、新しい同等の素材や異素材や機能の追加などへとアップデートできます。
3.サステナビリティ: 良質な木材資源を無駄にせず、生地やウレタンクッショの交換によって製品寿命を延ばすことは、現代の消費スタイルにおいても非常に合理的な選択の一つです。
チェアーズでは、皆様の家具を、一つひとつ再生しています。
今回の新宿区のお客様にも、新しくなった座面の感触と、サンセブンならではの落ち着いた外観に大変ご満足いただきました。
使用した生地情報
合皮
サンセブン L-8637 ¥2400/m
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