2025.12.26

アルフレックス「KU」アームレスチェア4脚の張り替え事例|多機能レザー「オクタビア」

BEFORE

AFTER

修理内容

メーカー名

arflex/アルフレックス

WEBサイト→

メーカ紹介

イタリアでモダンファニチャーの思想と心地よい暮らしの在り方を学んだ創業者が、帰国後1969年に国内での展開を始めた家具ブランド。普遍的な価値に時代ごとの感性を取り入れながら、日本オリジナルの製品をつくり続けています。

モデル名
KU アームレスチェア
種類
ダイニングチェア
施工方法
生地の張り替え
修理工賃
¥10000〜¥30000
お預かり期間
4週間
配送方法
自社便
依頼地域
千葉県成田市
修理内容

はじめに

使用頻度の高いダイニングチェアにおいて、座面の劣化は避けられない課題です。

今回は、イタリア生まれのモダンファニチャーブランド「arflex(アルフレックス)」の代表的なモデルの一つである「KU(ケーユー)」アームレスチェア4脚の座面張り替え事例をご紹介します。

本記事では、修理事例の紹介の他、張り替えに使用した生地のシンコール社の「オクタビア」の機能性についてもご紹介させて頂きます。

多機能なこの生地のメリットを中心に解説し、張り替えを検討中の方、特に「張り替え後にすぐ汚れたらどうしよう」「合皮と本革、布のどれが良いかわからない」といった不安をお持ちの方にとって、一つの判断材料となれば幸いです。

 

1.アルフレックスの「KU」アームレスチェア

今回の張り替え対象であるアルフレックスの「KU」について触れておきます。

 

飽きのこないデザインと耐久性

KU」シリーズは、無駄を削ぎ落とした直線的なデザインと、身体をしっかりと支える背もたれのカーブが特徴です。フレームには良質な木材が使用されており、長年の使用に耐えうる強度も持っていて、今回の事例のように、座面のファブリックが摩耗してしまっても、木部フレーム自体は良い状態を保っているケースが多くあります。

張り替えによる再生のメリット

アルフレックスのようなブランド家具は、フレームの耐久性も高く、座面の張り替えを行うことで新品同様、あるいはそれ以上の生地の機能性を持って復元させることが可能です。

安価な椅子を短いスパンで買い替えていくという選択肢もありますが、良質なフレームを生かしてメンテナンスを行う事で、長期的にはコストパフォーマンスが高く、また資源の有効活用という観点からもメリットが大きいかと思います。

 

2.張り替え前の状態(Before

 

表面生地の摩耗と劣化

座面の前方、太ももが当たる部分を中心に、生地が大きく擦り切れ、中のウレタンクッションが見えかけている状態です。

長年の使用による摩擦や衣服等との接触によって生じる経年劣化が起こります。

 

布地(ファブリック)の場合は繊維の結び目が摩擦で解れてきたりと、このように表面が薄くなってしまうケースもあります。

 

クッション材(ウレタン)への懸念

表面の生地がここまで劣化している場合、その下にあるクッション材(ウレタンフォーム)も「ヘタリ」や「加水分解」などを起こしてしまう可能性もあります。

張り替え作業においては、生地を張り替えの他、内部のウレタンの状態も確認し、必要であれば補充・交換を行うことが、座り心地を回復させるための工程の一つとなります。

 

3.シンコール「オクタビア」の機能性

今回の張り替え修理ではシンコールの「オクタビア」という生地を選んで頂きました。椅子張り生地は布・合皮・本革と普段椅子やソファに座る事を想定して作られた生地です。

その為、特に布や合皮は「機能性」を持った生地もいくつかあります。

今回はその中でも多機能を持ったシンコール社のフェイクレザー(ビニールレザー)、「オクタビア(品番:L-6252)」を選んで頂きました。

参考:シンコール デジタルカタログ 2024-2027 レザー編 P.46

なぜ「オクタビア」なのか。

ダイニングチェアという、汚れのリスクが高い環境において、オクタビアは以下の6つの機能を持っています。

 

 

耐アルコール性能

昨今の衛生観念の高まりにおいて、椅子やソファを消毒したいなどのニーズもあるかと思います。

 

一般的な安価な合成皮革や本革に対し、アルコールを使用すると、表面の硬化や変色など原因となります。

オクタビアは「耐アルコール」加工が施されており、アルコール消毒を行っても変質しにくい特性を持っています。

飲食店や医療施設でも活躍してくれる素材の一つです。

家庭のダイニングにおいても常に清潔を保つことができます。

 

 

耐次亜塩素酸性能

アルコールだけでなく、ノロウイルス対策などで使用される「次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤の希釈液など)」に対しても耐性を持っています。

万が一、除菌が必要になった場合でも、生地を傷めることなくメンテナンスが可能です。

これは小さなお子様や高齢者のいるご家庭にとって、非常に大きな安心材料となります。

 

 

防汚機能

ダイニングは食事をする場所であり、油汚れ、調味料、飲料の付着は避けられません。

オクタビアには特殊な表面処理が施されており、汚れが付着しにくく、また付着しても落としやすい設計になっています。

布地であれば染み込んでしまうような液体汚れも、合皮の吸水性の低さから表面で留まるため、サッと拭き取るだけで済みます。

 

 

④ Ag系抗菌機能

表面に付着した細菌の増殖を抑制する「銀イオン(Ag+)」による抗菌加工が施されています。

目に見えない菌の繁殖を防ぐことで、衛生的な食卓環境を維持します。

これは物理的な汚れ落とし(防汚)とは異なるアプローチで、生地表面の清潔さを保つ機能です。

 

 

耐油機能

皮脂汚れや、食事中の油飛びに対して強い耐性を持っています。

合成皮革の中には、油分に触れ続けることで可塑剤が抜け、硬化して割れてしまうものがありますが、オクタビアはそのような劣化リスクを大幅に軽減しています。

 

 

難燃機能

日本自動車車体工業会(JABIA)の難燃基準、および日本防炎協会の防炎性能試験に合格している生地です。万が一の火災時にも燃え広がりにくく、安全性が担保されています。

 

 

4.張り替え後の仕上がりと実用性の変化(After

明るい木部のフレームに対し、オクタビアの落ち着いたベージュ系の色合い(6252)が調和し、清潔感のあるモダンな印象に仕上がりました。

 

視覚的なリフレッシュ

擦り切れて疲弊した印象だった座面が一新され、椅子の輪郭がシャープに蘇りました。

オクタビアは質感もマットで上質なため、いわゆる「安っぽいビニール」のような光沢感はなく、今回お預かりした椅子のフレームにも違和感なく馴染んだと思います。

 

 

メンテナンスコストの削減

布地から多機能のフェイクレザーへの張り替えにより、日々のメンテナンスが劇的に楽になります。

  • 以前: 汚れがつかないように気を使う、汚れたら洗剤を叩いて染み抜きをする、毛玉を取る等の手間が必要。
  • 今後: 水拭き、あるいは中性洗剤を少しだけ混ぜた水やアルコールでの拭き掃除のみ。

この「気を使わなくて良い」という心理的な解放感は、実用面における最大のメリットかも知れません。

 

 

5.張り替えが初めてという方へ

椅子の張り替えを依頼したことがない方が抱きがちな懸念点に対し、椅子の張り替え業者の視点から解説したいと思います。

 

Q1. フェイクレザー(合皮)はすぐにボロボロになりませんか?

1.結果から申し上げると、経年劣化を短い期間で起こすかどうかは、椅子を使用する環境などにも依存します。

 

 

表面がポロポロと剥がれ落ちてしまう現象(加水分解)は、主にポリウレタン(PU)という樹脂素材で起きやすい劣化です。

PU素材のフェイクレザーの利点としては、表面の肌触りが良く、PVCレザーに比べてモッチリとした感触が表現でき、より本革に近い質感をフェイクレザーで求めたい方にとってはPUレザーがお勧めです。

 

反対に、今回使用したオクタビアは塩化ビニル(PVC)という素材をベースに作られており、湿気による加水分解に対しての耐性が比較的強いです。

もちろん永久に劣化しないわけではなく、長年の使用で表面が硬くなることはあり劣化の症状としてはひび割れの様な症状を起こします。

 

出来るだけ風通りの良く、湿気の少ない、紫外線の当たり過ぎない環境での使用をお勧め致します。

 

 

Q2. 布から合皮に変えると、座り心地が悪くなりませんか?

1.クッション性は内部のクッションにも依存するため、大きくは変わりません。

 

座り心地の柔らかさや反発力は、生地そのものではなく、内部のウレタンフォームなどのクッション材にも依存します。

そのため、布から合皮に変えたことでクッションの性能自体が変わることはありません。

ただし、布に比べると通気性は低くなるため、選ぶ生地によっては布に比べて夏場は蒸れやすいなどの状況が起こるケースもあります。

蒸れだけを考えるのであればPVCレザーよりもPUレザーがお勧めです。

 

合皮に変える事により、肌触りの質感が「サラッとした感触」に変わります。

ダイニングでの使用においては、通気性よりも「食べこぼしを拭き取れる」という清掃性のメリットを優先される場合に適した選択となります。

 

Q3. 費用対効果はありますか?

1.今回のアルフレックスのような椅子であれば、確実に「あり」です。

 

アルフレックスの様な椅子を新品で購入する場合、1脚あたり数万円〜十数万円の費用がかかるケースが多いですが、張り替えであれば、選ぶ生地にもよりますがその数分の一のコストで、美観や座り心地を取り戻せ、生地の機能性を向上させることも可能です。

 

特にフレームの状態が良い場合、資産価値を維持しながらランニングコストを抑える手段として、張り替えは経済的合理性の高い選択だと思います。

 

 

6.具体的なメンテナンス方法

今回使用したオクタビア(L-6252)の性能を長持ちさせるための、日常的なお手入れ方法をまとめます。

  • 日常のお手入れ: 柔らかい乾いた布でレザーを擦らずに乾拭きしてください。(空気中のホコリにも少なからず水分が含まれており、それを軽くふき取ってあげるようなイメージです)
  • 汚れが目立つ場合: 水、またはぬるま湯で薄めた中性洗剤(水9:中性洗剤1程度)を布に含ませ、固く絞ってから拭き取ってください。

その後、洗剤分が残らないように水拭きし、最後に乾拭きを行ってください。

どの場合も生地を擦らずに行って頂くのが良いと思います。

  • 除菌が必要な場合: アルコール除菌シートやスプレーを使用可能です。ただし、濡れたまま放置せず、使用後は揮発させるか軽く拭き取ることを推奨します。
  • 注意点: ベンジン、シンナーなどの有機溶剤は表面を溶かす恐れがあるため使用しないでください。

また、ボールペンや油性マジックの汚れは「防汚加工」があっても完全には落ちない場合があるためご注意ください。

 

 

7.まとめ:実用性と美観を両立させる賢い選択

今回のアルフレックス「KU」の張り替え事例は、単なる「修理」ではなく、それぞれの生活様式に合わせた「アップグレード」の一つだと思います。

見た目の奇麗さを取り戻すことは当然ですが、シンコール「オクタビア」という、耐アルコール・耐次亜塩素酸・防汚・耐油といったそれぞれの使用環境を考慮したスペックの生地で張り替えをすることで、この椅子は「汚れに強い実用的な道具」へと変わりました。

  • フレーム: アルフレックス製の木部(既存利用)
  • 座面:  :多機能フェイクレザー(新規)

この組み合わせは、良いものを長く使い続けたいが、日々の手入れに時間はかけたくないというようなユーザーにとって、最適解の一つだと思います。

椅子の座面が傷んできた際、「買い替え」を検討する前に、「多機能素材での張り替え」という選択肢もご検討いただけると、今後のメンテナンス性も変わってくるので、より快適でストレスフリーな生活空間にすることが出来るのではないかと思います。

生地情報データ

  • メーカー: シンコール(SINCOL
  • カタログ名: レザー 2024-2027
  • 品名: オクタビア
  • 品番: L-6252
  • 機能: 耐アルコール、耐次亜塩素酸、防汚、Ag系抗菌、耐油、難燃
  • 組成: PVC(塩化ビニル)
  • 詳細URL https://sincol-group.jp/digitalcatalog/leather2024/#page46
お客様の声
奇麗になって良かったです。これからも使っていけそうです。有難うございました。

使用した生地情報

合皮

オクタビア L-8162 ¥3000/m

品名
オクタビア
品番
L-8162
カタログ
https://sincol-group.jp/digitalcatalog/leather2021/#page78
国名
日本
カラー
ホワイト
素材
PVC
無地
生地幅
122㎝
価格帯
~3000円/m以下
価格
¥3000/m
機能性
耐アルコール 耐次亜塩素酸 防汚 抗菌 耐油 難燃

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