今回ご紹介するのは、ドイツの高級家具ブランド「Rolf Benz（ロルフベンツ）」のロングセラーモデル Rolf Benz 6500 の張り替え・修復事例です。
6500は、ゆったりとした奥行きと重厚なボリュームのあるデザイン、そして独特の包み込まれるような座り心地で、大きなこのソファがリビングに1台あると存在感も抜群です。

そんなロルフベンツの６５００、大きくて存在感があるからこそ奇麗な状態でお部屋にあると、より空間を良い雰囲気に保ってくれると思います。

今回お預かりさせて頂いたソファは、約15年ほど愛用されてきた一台。
お客様の暮らしの中心として長い年月を共に過ごしてきたソファで、座面のヘタリや座面の革カバーに汚れや劣化も目立ってきたという事でしたが「まだまだ使いたい。でも見た目と座り心地が気になってきたので相談したい」ということで、今回の修復のご依頼をいただきました。

施工前の状態

長年使用された本革のソファカバーに多く見られる症状が随所にありました。

✅ 座面革の黒ずみ・ひび割れ

特に座面は使用頻度が高く、

• 表面の擦れ
• 色落ち
• 黒ずみ
• 細かなひび割れ

が顕著でした。革だけに言えたことではありませんが、長期間の使用で乾燥と摩擦が重なるとこうした劣化が進みまやすくなります。

✅ クッションのヘタリ

6500特有のふっくらとしたシートが特徴ですが、長年の使用によりクッション材が部分的に潰れ、支えが弱まっている状態でした。座った時の沈み込みが大きく、サポート力が低下していました。

✅ 肘掛け部分の擦れ・キズ

肘掛なので当然ですが、お客様は「座るときに肘掛けに肘を置く事も多い」とのことで、

• 肘掛け革のひび割れ
• 擦れ跡
• 小キズ

が目立っていました。人が触れたり体重をかける部分は、どうしても摩耗が早く進みます。

今回の修理メニュー

今回の施工内容は以下のとおりです。

なぜ「全部張り替え」ではないの？

ご相談段階で「全面張り替えか部分張り替えか」でお悩みでした。

今回は

• 革のカバーの状態とご予算
• まだ使える部分と、交換が必要な部分
• ソファの構造特性（部分張り替えで十分な耐久性・統一感が出せる）

を踏まえ、全体のクリーニング+座面のみ張り替え ＋肘掛塗装修理をご提案させて頂きました。

作業の流れ

① ソファの分解・状態チェック

まずはソファ自体をパーツ毎に分解し、内部クッションなどの状態も確認。

② 全体クリーニング

専用クリーナーで

• 汚れ
• 皮脂などの油分
• 黒ズミ

などを可能な範囲で除去。

※クリーニングでは全ての汚れや黒ズミを除去する事をお約束するものではありません。

③ 肘掛けの革 塗装修理

クリーニング後に、ひび割れや擦れがあったアーム部分を、塗装メンテナンスし

傷なども修復していきました。

④ 座面革の張り替え

今回は肉厚でナチュラルなシボの色の近い革を選び、座面を張り替えしました。

大きな座面なので、より革選びも慎重にし、張り替えが終わった後に背凭れや肘掛などの張り替えない部分の革のカバーとの差異が出来るだけ少なくなるよう努めています。

革をチョイスし終えた後は、裁断や縫製作業を進めて、それが終わると新しいカバーをソファの座面に張り込みます。

⑤ 最終仕上げ・コーティング

全体のバランスを整え、クリアコーティングも吹き付け、乾燥を終えたら完了です。

完成後の状態

今回は部分的に革のカバーを張り替えましたが、張り替えない箇所と張り替えた座面のカバーとの間に大きな差異を出す事もなく、無事完了させられたかと思います。

お客様もご依頼前には不安な所もあったようですが、ご納品後にはとても喜んで頂けて嬉しく思います