2025.10.28
ソファカバーの張り替え事例:ロルフベンツ 6500 本革張り替え(カラーチェンジ)
修理内容
- メーカー名
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ROLF BENZ/ロルフベンツ
- メーカ紹介
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革新的なデザインと、ドイツのクラフトマンシップが息づく高いクオリティ、そして類稀な掛け心地で高い評価を得るドイツを代表するブランド「ロルフベンツ」。
ドイツの工業規格にのっとりながら、自社でさらに厳格な製品基準を設定し、その高いクオリティを維持しています。高品質の素材はもちろん、快適さを追求することでうまれた独自の「多層クッション構造」はこの上ない掛け心地を生み出します。
長い時間座っていても疲れにくいように設計された内部の構造は人間工学に基づいた緻密な計算のもと作り上げられます。
- モデル名
- 6500
- 種類
- ソファ
- 施工方法
- 生地の張り替え
- 修理工賃
- ¥200000〜¥250000
- お預かり期間
- 4週間
- 配送方法
- 自社便
- 依頼地域
- 東京都港区
- 修理内容
-
今回ご紹介するのは、ドイツの高級家具ブランド「ロルフベンツ(ROLF BENZ)」の人気モデル 6500。
長年使用されていたアイボリー寄りのベージュ革のソファとスツールが、経年による汚れや色あせでくすみが目立つようになったため、張り替えのご相談をいただきました。ロルフベンツは本体に重量もあり、デザイン・座り心地・耐久性に優れたブランドですが、革張り製品の宿命として、経年で「色の変化」「表面の乾燥」「シワやたるみ」は避けられません。
今回は、シボのある黒いシュリンクレザーを使用して、重厚感や高級感が更に増し、張り替え前とはまた違う印象へと変わりました。■ 張り替え前の状態
施工前のソファは、淡いベージュトーンが上品でありながら、日常使用による黒ずみや擦れ跡が目立ち始めていました。
クッション表面の革は乾燥して硬さも出ていて、座面の中央には沈み込みも見られます。背クッションも内部のウレタンがへたり、ハリがなくなっている状態。
ベージュやホワイト系の革は、空間を明るく広く見せ、清楚感や暖かみを与える効果がありますが、その反面、
一旦黒ズミや皮脂などで汚れてしまうと、それが目立ちやすかったりというデメリットがあるのも確かです。
■ 使用した革:黒のシュリンクレザー
今回採用したのは、表面に自然なシボ(しわ模様)を持つシュリンクレザー。
革の特徴としては次の通りです。- 程よい厚みと柔らかさ
- シボによる陰影で、傷やシワが目立ちにくい
- 黒革でも重すぎず、艶を抑えたマットな仕上がり
黒や茶色の革や生地はホコリや傷などのが白系に比べて目立ちやすいというデメリットもありますが、反面汚れが目立ちにくかったり、ノーシュリンクの革に比べてシュリンクレザーは小さな傷が目立ちにくいなどのメリットがあります。
■ 張り替え作業の流れ
- ソファの分解、革のカバーの剥がしと型取り
大型のヘビーなソファなので、少し力が要りますが、まずはソファ全体をパーツ毎に分ける為、分解していきます。
パーツに分かれたところで、パーツそれぞれに張ってある革のカバーを剥がしていきます。
革のカバーはステープルで止まっていたりもするので、ステープルを一つ一つ外して革のカバーを剥がしていきます。
既存の革を剥がし終えると、本体や剥がした革を採寸し型取りを進めて行きます。
- 内部ウレタンとクッション材の調整
中のウレタンクッションなどのもヘタリを改善するため、補充をしていきました。
- 新しいシュリンクレザーの裁断・縫製
型取りを基に新しい革を裁断し、パーツ毎に縫製していきます。
- 張り込み・最終調整
本体フレームに革を張り込む際は、全体のテンションバランスを保ちながら、微調整しつつ張っていきます。そしてもう一度パーツを組み直して完成です。
■ スツールとオットマンの違い(豆知識)
今回のセットには、ソファと同素材で作られたオットマンも含まれていました。
オットマンとスツール。これらの言葉は、実際には明確な違いを判別して使われる事は無いかと思います。どちらの言葉でも通じるので、日常的にはそれぞれの用途を考えて、区別して使う事は少ないかと思います。
豆知識としては、下記の様な由来や用途の違いがあるようです。
名称 形状・用途 語源・由来 スツール(stool) 背もたれのない椅子。1人用の腰掛けとして使われることが多い。 古英語「stol=座るもの」 オットマン(ottoman) ソファに合わせて使う足載せ台。リラックス用の補助家具。 トルコの「オスマン帝国」に由来。宮廷で使われた長椅子が語源。 つまり、形そのものよりも用途による呼び分けが主。
「スツール」は独立した座家具、「オットマン」はソファと組み合わせて使う足を置くフットスツールという補助家具という違いがあります。
ただし日本のインテリア業界では、どちらもほぼ同義で使われるケースが多く、厳密な区別はあまりされません。■ カラーチェンジの効果:ホワイト系 vs ダーク系
ソファや椅子を張り替える際、「せっかくなら色を変えたい」と考える方も多いものです。
特に今回のように ベージュ → ブラック のような「明るい色から暗い色」への変更は人気があります。
それぞれの色系統には、次のようなメリット・デメリットがあります。- ホワイト・ベージュ系の特徴
メリット
- 明るく、部屋全体を広く見せる効果
- 清潔感があり、空間を上品に演出
- 北欧インテリアやナチュラルテイストと好相性
デメリット
- 汚れや黄ばみ、色移りが目立ちやすい
- 汚れてしまった際にはメンテナンス頻度が高くなりがち
- ブラック・ブラウン系の特徴
メリット
- 高級感があり、重厚で引き締まった印象
- 汚れや傷が目立ちにくい
- シボのある革を選ぶと、陰影がより美しく見える
デメリット
- 部屋を暗く見せることがある
- ホコリや白っぽい汚れ(衣服の繊維など)は目立つ場合も
■ 張り替え後の印象とお客様の声
完成後のロルフベンツ6500は、まるで別物のような存在感。
ベージュ時代の柔らかく優しい雰囲気から一転、重厚でモダンなブラックインテリアの主役となりました。家具の寿命を延ばしながら、デザインの方向性を変えられるのが、張り替えの大きな魅力です。
■ まとめ
今回のロルフベンツ6500の張り替え事例は、
「革の劣化によるリフレッシュ」と「カラー変更による印象のアップデート」が出来ました。古くなってしまったり傷んでしまったり、捨てるか買い替えようか迷っているソファや椅子など、張り替えや修理という選択肢もありますので、一度検討してみては如何でしょうか。
