2025.10.11
depadova「インチーザチェア」本革の張り替えとシミになったヌメ革の塗装修理
修理内容
- メーカー名
-
DePadova (デパドヴァ )
- メーカ紹介
-
デパドヴァの家具は 歴史・伝統や地域・民俗文化を大切にし、
それらのテイストをバランスよく取り入れて、 エレガントなデザインに仕上げるのが特徴です。
「温もりある上質で心地良い家具」を提供することがマッダレーナ婦人がリードしてきたデパドヴァのポリシーです。
そのポリシーは2015年にボッフィ社のグループに加わった現在も引き継がれ、更なる発展を続けています。
- モデル名
- インチーザ/ Incisa
- 種類
- パーソナルチェア
- 施工方法
- 本革のクリーニングや塗装生地の張り替え
- 修理工賃
- ¥90000〜¥120000
- お預かり期間
- 4週間
- 配送方法
- 自社便
- 依頼地域
- 東京都港区
- 修理内容
-
イタリアのデザイン家具ブランド「depadova(デパドヴァ)」の「Incisa(インチーザ)チェア」。
独特なフォルムと存在感に惹かれる方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介させて頂く張替え事例は、そんなインチーザチェアの塗装修理と張り替えの作業です。
年月を経て出来てしまった劣化やシミに悩まれていたお客様からのご相談をもとに、
同じ様な症状でお困りの方に、是非参考にしていただき、椅子やソファの修理や張り替えの見当材料にして頂けると嬉しいです。
◆ ご依頼の背景と椅子の状態
今回ご依頼をいただいたのは、東京都港区にお住まいのお客様。
長年にわたり大切に使われてきたdepadova社のインチーザチェアですが、以下のような症状が見られました。
- 椅子の本体外側に使われている、茶色いヌメ革に広範囲なシミやムラが発生
- 座面と背凭れの白い本革に黒ずみ、変色
- 全体の印象がくたびれて見えてしまい、使用感がありました
椅子そのものの構造には問題がなかったものの、見た目の劣化により少し古びた感じになってしまっているので、張り替えなどによる全面的な修理でイメージを一新したいところですね!
◆ ブランドとチェアの魅力
「インチーザチェア」は、depadovaの中でも特にアイコニックな一脚。
キレイな椅子の曲線的なフォルムと、どっしりとした革張りのボディが特徴で、ミッドセンチュリーモダンの要素がありつつ、現代的な空間にも自然に溶け込むデザインです。
以前は「カッシーナ・イクスシー」でも取り扱いがあり、国内でも高い人気を誇っていました。
革張りのラグジュアリーな質感と、クローム脚のモダンなバランスは、独得ながらも素敵ですよね。年月が経っても色褪せない魅力があると思います。
◆ 修理内容の詳細
- 使った生地
座面と背凭れには同じ感じのシボ感や艶感の白いスムースレザーを選びました。
※革表面に細かな凹凸(シボ)を再現または、自然に出来た凹凸を残した革をシュリンクレザー。革表面にシボが無くツルツルとした状態の革をスムースレザーと言います。
- 作業工程
- 椅子の分解と革の剥がし作業
椅子の座面と背凭れ、肘掛け部分のパーツを取り外し、それから革を剥がしていきます。
座面はカバーリングの使用で背凭れから肘掛に掛けてはファスナーで本体と繋がっています。
- 塗装修理(外装ヌメ革部分)
外側の茶色いヌメ革部分は、シミが全体的に広がってしまっていました。
一度革の表面を目の細かな研磨剤で研磨し、その後下地処理を行い、密着材を塗布していきます。
その後調色した色を吹き付け塗装していきますが、薄い塗装膜を何度も塗り重ね、その途中には研磨と乾燥を繰りかえし行っていきます。
以外と忍耐と手間の掛かる作業ですが、汚れていたものや劣化していたものが奇麗になっていく過程は楽しさや喜びなどもあります。
- 張り替え作業(座面・背もたれ)
革の寸法や形状を型取りし、新しい革を裁断していきます。
その後に裁断した革を縫製していきます。
縫製作業は、その都度製品に合わせてアタッチメントを変えたり、糸を変えたり、ミシンの設定を変えたりと一定ではありません。
このモデルは綿と生地を一緒に縫製する箇所もあるので、生地だけを縫製する場合とは少しミシンの設定も変えなければいけませんでした。
- 脚部のクリーニング・ポリッシュ
新しい生地も完成して、外側の革の塗装も完了すると椅子のフレーム部分の
磨きを行います。
長年使っていたことによる、カビや錆などがあるフレームも存在するのですが
磨きを掛ける事で、全て除去できないケースもありますが基本的にはかなり奇麗になります
◆ 修理後の仕上がりと変化
張り替え後の椅子
- 白い新しい革の張り替えで、明るく清潔感のある印象に
- ヌメ革部分は塗装修理で、自然な革の表情を保ちつつ、シミのない均一な状態になりました
- 革のハリやクッション性も回復し、座り心地も改善
椅子を見た時の印象が使用感のある状態と新しく修理した状態でかなり変わりました。
◆ お客様の声
「新品の様に奇麗になって嬉しいです。」
長年愛用してきた家具だからこそ、新たに蘇った時の感動はひとしお。
こういったお声を頂くと、手掛けた側としてもとても嬉しい気持ちになります。
◆ 職人より一言:インチーザチェア修理
インチーザチェアの修理で特に注意が必要なのは、以下の3点です。
ファスナーの繋ぎや、曲線の再現など素材が革になるとよりハードルは上がりますが、この様なお客様の声を聞けて良かったです。
◆ まとめ:長く使える家具に再び命を
今回のインチーザチェアのように、革製の椅子やソファは経年変化と共に味が出る一方で、手入れや修理が必須となるケースも少なくありません。
しかし、適切なメンテナンスを施すことで、10年、20年と時を重ねて育てていく家具になると思っています。
古くなってしまったり、傷んでしまったソファや椅子も張り替えや修理で再生する事が出来ます。
また、それと同時に椅子やソファの生地の色や素材を変えて、イメージチェンジをしたりリフォームやリノベーションに合わせてガラッと印象を変えたりすることも出来ます。
新しく買い替えたり、廃棄を考える前に一度張り替えや修理を検討してみては如何でしょうか?
