椅子やソファーのお悩み解決

COLUMN

本革生地について知っておきたい事 / 種類や選び方やメンテナンス

ソファーや椅子の張り替えに使われる生地の中でも、本革は肌馴染みも良く、合皮とは違うソフトで重厚感のある高級素材です。

ソファーや椅子を張り替える時には是非とも革で張り替えたい!という希望を持たれている方も多いのではないでしょうか。

そんな本革で張り替えを進める際に、見た目の印象ももちろん大事ですが、実際にソファーや椅子として使用していく上で知っておくと損をしない革表面の仕上げ方法による用途やメンテナンス方法の違いなどを、実際の張り替え事例を交えてお伝えしていけたらと思います。

張替事例では、革ソファーや椅子で劣化が顕著に表れる、座るところやアーム部分を部分的に張り替え修理したもや、張り替えをせずに塗装補修をしたもの、そして革の種類別に張り替え事例も掲載しましたので、今後の参考にして頂き本革をつかって、お気に入りのソファーや椅子を張り替える際や、新しく購入するときなどにお役立ていただけたら嬉しいです。

本革っていろいろな種類があるなんて初耳だったけど、実際にはどんなものがあるのか気になります(* ´艸`)

椅子やソファーの張地で使われる革は、主に牛革が多く、その他には軽く丈夫な馬革や、薄くてソフトなラム革がつかわれることもあるんだよ✌
そして革は動物の「皮」から「革」へと製品化される過程で、革表面に色着けの塗装や染色がされるんだけど
その仕上げの方法によっても目的やメンテナンス方法が変わってくるからそのあたりを紹介していくね!

それではまずは、染色や塗装方法の違いによってどんな特徴が出てくるのか見ていこう!

革好きの私にはすごい興味のある話なので楽しみ((´∀`))

1.本革表面の仕上げ方法の違いによる効果とメンテナンス

染色や塗装のちがいによる革の特徴

本革は動物の原皮の状態から、なめしの工程などを経て「皮」から「革」という製品に仕上がります。

本来の皮は赤や黒や白や青などの色は付いていませんが、仕上げる段階で染色や塗装により色がつき、着彩などの仕上げの方法の違いによって、メンテナンスや劣化の仕方も変わってくるので、ここではその違いを知って貰えればと思います。

仕上げ方法の違いは主にこれから紹介する4つがあげられます。

本革ってだいたいどれも同じように色が付いていると思っていたけど、違いが結構あるんだね(´∀`)

そのとおりなんだよ、洋服に色を付けるときは染料をつかったり、建物の外壁に色を付けるときは顔料を
使ったりという事と同じに、革の色着け方法や塗料の種類もいくつかあるんだよ🐄

1.顔料仕上

顔料は皮の上に塗料を塗るので、建物の外壁などのように塗料を乗せるイメージです。
染料などで仕上がった革に比べて、経年変化を楽しむという点や表面の透明感などはおとってしまい、染料仕上げの革などと並べると表面はノッペリとした印象ですが、反面そういった革よりも表面の擦れ傷に強かったり、紫外線による変色や退色などにもある程度強くなります。
型押しでハッキリしたシボ(シワ目)を加工できたり、顔料で色々な色を塗装できたりするメリットもあります。
摩耗強度が必要なソファーや椅子には適しています。

(メリット)
・キズ付きにくく変色などしにくい
・吸水性が低く、水染みなどになりにくい
・型押しでシボや柄の再現をして、デザインを作り易い
・カラーアリエーションが豊富
(デメリット)
・本来の原皮の質感などは得られにくい
・経年変化が乏しいので、エイジングは期待できない

※メリットとデメリットはあくまで、本革の染料や他の仕上げ方法との比較となります。

《メンテナンス》
顔料塗装の革は、表面の吸水性が低くオイルのメンテナンス材などは染み込んでいかない事が殆どです。
その為、定期的に空気中に含まれた水分やホコリを除いてあげるイメージで、強くこすらずに乾拭きをしてあげるとよいと思います。
表面についた汚れなどは、クリーナーや水拭きなどで除去できる場合もありますが革とクリーナーが合わない場合には変色などの原因にもなるので、一度見えない部分で試してみてから使用するのをお勧めします。
どうしてもオイルを入れて革を柔らかくしたいなどの場合は、塗装されていない革の裏側から入れてあげる事も出来ますが、ソファーや椅子の場合は、一度生地を剥がしてあげる必要があります。

塗装に関しては、発色が国内のものと海外のものでは違ってくることもあるんだよ👷

(顔料仕上げの革サンプル一例)

顔料仕上げの革サンプルを見たい方はこちらから

2.染料仕上げの革

染料で仕上がった革の中でもアニリンレザーと呼ばれる、合成染料で仕上げのしてある革が椅子やソファーでは使われることが多いかと思います。(草木の自然染料で染めたものがボタニカルレザー)
アニリンレザーは簡単にいうと顔料仕上げに比べると、メリットとデメリットの反対の効果が出てきます。
顔料仕上げに比べて革の素の状態を保っていて、経年変化をしていくので、より革らしい革でクラシカルなソファーや椅子に張り上げると革の雰囲気が大いに出てカッコ良いですよね!
革本来の経年変化やエイジングを楽しみたいという方には、お勧めの革になります。

(メリット)
・本来の原皮の質感や透明感などが表情として出る
・経年変化があり、革のエイジングを楽しめる

(デメリット)
・キズ付きやすく紫外線などで変色や退色を起こしやすい
・吸水性が高く、水染みなどになりやすい
・デザインやカラーアリエーションが多くない
・摩耗強度を保ちにくい

《メンテナンス》
オイルをつかった定期的なメンテナンスをしてあげると良いと思います。
頻度は多すぎてもよくないので、月に1度くらいでよいと思いますがクリーナーなどは表面のシミとして反応しやすいので、顔料仕上げの革以上に気をつかって一度見えない部分で試してから使う事をお勧めいたします。
また、擦れ傷などにも強くないので、引っ掻きなどの多い猫ちゃんやワンちゃんがいる場合は要注意です。

(染料仕上げの革サンプル一例)

染料仕上げの革サンプルを見たい方はこちらから

染料染めの革は表面が強くはないから、日ごろの取り扱いには少し気を使ってあげよう!

何だか気を使ってキズが付いちゃうのが怖いですね😞

普通に使っていて、いきなり沢山傷が付いたりという事は無いし、なんと言っても革本来の風合いを感じられる
素敵な素材なんだよ((´∀`)

3.染料と顔料を使った仕上げ

セミアニリンレザーは、染料仕上げのよいところ革の透明感などをある程度残しつつも顔料で表面を塗装しているので、顔料と染料仕上げの中間の革になります。
そのため、紫外線や染みなどにたいする対抗は「やや弱い」ということになりますが、革の透明感を残しつつ顔料仕上げの良さも持ち合わせている、フルアニリンレザーとウレタン仕上げの良いとこ取りの革ですね!

メリットとデメリットなどは染料仕上げの革寄りで、高級ソファーや椅子などにも使われる事の多い仕上げの革です。

(セミアニリンレザーの革サンプル一例)

顔料仕上げの革サンプルを見たい方はこちらから

4.生成りの革

生成りの革は、まさに革そのもので、染色や塗装などの色着けはされておらず、製品になる「革」の前の「皮」の表情がほぼそのままです。
製品になる前の皮の状態から、通常は動物に付いた皮膚の傷などを処理してから革という製品にするのですが、
その傷なども残っているので、より自然な革なのが特徴です。
ソファーや椅子でそのまま使われることは、あまりありませんが最も革らしい表情があります。
メンテナンスの取り扱いは、かなりシビアでちょっとした事で傷や染みが出来るので正直神経は使いますね^^

(生成りの革サンプル一例)


革の種類によって特徴も結構違いがあるなんて、革を選ぶ前に知っていてよかった(* ´艸`)

それじゃあ革の違いや特徴を知ったところで、実際に本革でソファーや椅子を修理した時に、どの様になるか張り替えや修理事例をいくつか紹介するから参考にしてね!

2.革の種類別、ソファーの張り替え修理事例

本革でソファーや椅子を張り替える時には、色を変えたり、シボ(革表面の細かい凹凸)の感じなどを変えると雰囲気も変わります。

又、ソファーや椅子は座るところや肘掛の部分が先に劣化してくることが多いので、色を合わせて部分的な張り替え修理も可能で、劣化している革の状態によっては張り替えをせずに塗装補修でメンテナンスできるものもありますので、それぞれの事例を参考にして頂けたらと思います。

1.顔料仕上げの本革を使った張り替え事例

【ソファーブランド】 カッシーナ
【ソファーモデル】 マラルンガ1P
【張り替えた革】 ニュースムース/顔料仕上げ
【シボや柄】   ほぼ無い
【修理内容】   ソファーの革全体の張り替えとクッション補充
(張り替え前)

(張り替え修理後)

(修理事例2張替え椅子)

エコーネスネイビー

2.染料仕上げの本革を使ったソファーや椅子の張り替え

(修理事例1張り替えソファー)
モードエンカーサカウチ
(修理事例2張り替え椅子)
キャンティレバーオイル

3.本革だから出来る部分的な張り替え修理事例

(修理事例1座面張り替え)
(修理事例2座面張り替え)

4.張り替えずに塗装で傷や変色を修理した事例

(修理事例1キャブチェア)
(修理事例2全体塗装)

いかがでしたでしょうか

今回は椅子やソファーの張り地の中で「本革」に焦点をあててお話しをさせて頂きました。

革のメリットやデメリットを少しご理解していただけたでしょうか。

どの革が良いかなどは、革それぞれに一長一短あり一概には言えませんがご自身の椅子やソファーを使う環境や好みによって、今回ご紹介させて頂いた知識や事例などご参考に上手につかっていただけると嬉しいです。

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