2026.06.28
ハーマンミラー「イームズ ソフトパッド エグゼクティブチェア」座面本革の部分張り替えの事例
修理内容
- モデル名
- イームズ ソフトパット エグゼクティブチェア
- 種類
- パーソナルチェア
- 施工方法
- 部分張り替え
- 修理工賃
- ¥30000〜¥60000
- お預かり期間
- 3週間
- 配送方法
- 自社便
- 依頼地域
- 東京都世田谷区
- 修理内容
-
ハーマンミラー(Herman Miller)社の定番オフィスチェアである「イームズ ソフトパッド グループチェア」のハイバック仕様(エグゼクティブチェア)の修理を実施いたしました。
お客様からのご指定で、全体的な張り替えではなく、破損の激しい座面クッション部分のみを対象とした本革(黒のスムースレザー)による部分張り替えを行いました。
以下にその作業内容やビフォーアフターの内容を記事にしました。
修理の対象となった椅子は、ミッドセンチュリーデザインを代表するチャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames)によって1969年に発表された「イームズ ソフトパッド グループチェア(Eames Soft Pad Chairs)」のエグゼクティブモデルです。
椅子の構造およびメカニズムの詳細
- フレーム構造: 1958年発表のアルミナムグループチェアと共通のアルミニウムダイキャスト製サイドフレームおよび五本爪のベース(キャスター付き)を採用しています。
高い強度を持つこのフレームが、全体のサスペンション構造を形成しています。
- クッションシステム: ソフトパッドチェアは厚みのある独立したクッションをフレームに取り付ける仕様です。
ハイバック(エグゼクティブ)モデルでは、背もたれに3個、座面に1個、計4個の独立したクッションパッドが配置されています。
- オリジナルの張地: ハーマンミラーの純正品では、高品質な天然皮革(フルグレインレザー等)が使用されており、クッション表面には特徴的な横方向のキルティングステッチが施されています。
修理前の状態(Before)
各パーツの劣化度診断
- 背もたれクッション(3段): 表面の本革には長年の使用に伴う摩擦、細かなひび割れ(クラック)、および銀面の油分抜けが見られます。
しかし、革自体の裂けや破れ、縫製糸の破断、および内部ウレタンの露出は発生していませんでした。
- 座面クッション(1段): 着座時の荷重、および立ち座り時の摩擦が最も集中するパーツであるため、表面の摩耗が多く、特に座面の手前左側部分においては、本革が完全に破断(裂け)しており、内部のウレタンフォームが露出しかけている状態でした。
また、全体的に摩擦による色落ちが進み、グレーがかった状態に変色していました。
- 金属フレーム・キャスター部: アルミニウム部分に細かなキズや経年による酸化(くすみ)は見られるものの、キャスターの回転動作には構造的な問題はありませんでした。
修理方法
お客様より「長年使用して馴染んでいる背もたれ3段の革はそのまま残し、使用に支障が出ている座面のクッション1箇所のみを部分的に張り替えてほしい」とのご希望を頂きました。
全面張り替えではなく、既存の背もたれの革の質感に調和する本革を選定して部分修理を行う方針を決定しました。
色についても同じ黒でも白が買った黒や、緑や青掛かった黒などあるので、出来るだけ現状の黒に合わせていきます。
- 使用素材(本革・黒スムースレザー)
部分張り替えにおいて大事だと思うのが、新しく張り替えるパーツと、そのまま残す既存パーツ(背もたれ)との違和感を減らすこと。
選択した素材:黒のスムースレザー(本革)
- 今回の修理では、型押しなどの表面加工を施していない、なめらかで自然な表面を持つ「黒のスムースレザー(本革)」を採用しました。
- 既存の背もたれ部分は、長年の使用によって革のツヤが落ち着き、独特のマットな風合いに変化しています。新しく使用する本革のスムースレザーは、適度な厚みと柔軟性を持ちながらも、過度な光沢がないマットな仕上げのものを選定しました。
張り替えない部分も相当の痛みはあるので、合わせることはなかなか難しいですが、できる限り仕上がりを意識して進めていきます。
- 詳細な作業プロセス
① 分解とウレタン補修
まず、アルミニウム製のサイドフレームから、破損した座面クッションをボルトを緩めて丁寧に取り外します。
取り外した座面を解体し、古い本革カバーを剥がします。
内部のウレタンフォームを確認したところ、破れが発生していた箇所周辺のウレタンに摩擦による削れとへたりが確認されたため、ウレタンの交換を行い、本来のクッション性と厚みを復元しました。
② 型取りと本革の裁断
剥がした元の革カバーをベースに寸法を測定します。
選定した黒のスムースレザー(本革)の上に型を配置し、革のキズやシワの方向(繊維の向き)を考慮しながら、最適な部位を切り出します。
天然皮革であるため、伸びやすい方向などを計算して裁断を行う必要があります。
③ 縫製と張り込み
同じピッチで縫製を行い周りのステッチも入れていきます。
縫製完了後、補修を終えたウレタンフォームに新しい本革カバーを被せ、シワや歪みが出ないよう均等にテンション(張り)をかけながら、フレームに固定します。
- 修理完了後の状態(After)
- 座面クッションの復元: 破れのあった座面は、新しく張り替えた黒のレザー(本革)によって修復されました。ウレタンフォームの補強により、クッション本来のボリューム感も復活しました。
背もたれや他の部分の本革の痛みも相当にあるので、張り替え部分と張り替えていない部分に差異が見られないわけではありませんが、これ以上に破れが広がる心配もなくなくなりました。
部分張り替えや全体張り替えなど、お持ちの製品やお客様の状況に合わせて
生地の張り替え方法を選んでみてはいかがでしょうか。
製品により部分張り替えが出来ないものもありますが、お見積もり無料となっておりますので、ブランドソファやノーブランドのチェアなど椅子やソファに関することはチェアーズまでお声がけください。
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