2026.01.07
【ハイバックチェアの張り替え事例】 マルニ木工「ベルサイユ」大人のブラウンレザー
修理内容
- メーカー名
-
maruni/マルニ
- メーカ紹介
-
マルニ木工は創業以来、木製洋家具作り一筋に進んできたメーカーであり、それだけに「木」を知り尽くした企業です。
使い手の生活に溶け込み、100年後も定番として愛される家具を目指し今日も木と向き合い、モノづくりに励んでいます。
- モデル名
- ベルサイユ
- 種類
- ダイニングチェア
- 施工方法
- バネやクッションの修理生地の張り替え
- 修理工賃
- ¥30000〜¥60000
- お預かり期間
- 4週間
- 配送方法
- 自社便
- 依頼地域
- 東京都世田谷区
- 修理内容
-
こんにちは、チェアーズです。
ソファや椅子にはもちろん寿命があります。
しかしながら、その寿命をメンテナンスで何年も伸ばしてあげることも可能です。
大切なのは「メンテナンスの時期」だと思います。
傷んでいない椅子を張り替えても仕方がないですし、再生できないほどにボロボロになってしまってからでは遅すぎる。
ということにもなってしまいます。
張り替えた方がよいのか、修理をすればこの先も使えるのかなど、判断がつきづらいケースもあるかと思いますが、椅子やソファは修理や張り替えで永く使っていただけるという事も事実なので、廃棄前に選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
木部などのフレームがしっかりとしている椅子やソファであれば、表面の生地やクッション材を交換することで、親から子へ、子から孫へと受け継ぐことができるポテンシャルがあります。
今回は、東京都世田谷区のI様よりご依頼いただいた、**マルニ木工(Maruni)の最高級ライン、マキシマムシリーズ「ベルサイユ」**のハイバックチェア張り替え事例をご紹介します。
長年の使用で生地が傷んでしまった6脚のダイニングチェア。
それらがどのようにして、クラシックな気品を保ちながら再生されたのか。
マルニ木工というブランドの歴史や、この椅子の持つ価値とあわせて、張り替え修理の内容をレポートしました。
1.ブランドの系譜:日本の家具を牽引する「マルニ木工」
まず、今回お預かりした椅子が作られた背景にある、メーカーについて触れておきましょう。
**マルニ木工(Maruni Woodwork)**は、1928年に広島県で創業した、日本を代表する老舗家具メーカーです。
「工芸の工業化」をモットーに掲げ、創業当時から木材の曲げ技術(曲木)などの高度な職人技を、精密な機械加工と融合させることに挑戦してきました。
昭和の高度経済成長期、多くの家庭が「洋風の暮らし」に憧れを抱きました。
その憧れを形にし、日本の洋家具市場を牽引したのがマルニです。
単なる西洋家具の模倣ではなく、日本人の体格や日本の住宅事情に合わせて綿密に計算されたマルニの家具は、その美しさと耐久性で多くのファンを獲得しました。
近年では深澤直人氏デザインの「HIROSHIMA」などが世界的に注目されていますが、その根底には、創業時から変わらぬ「木を知り尽くした技術屋」としてのプライドが流れています。
2.対象家具の診断:「ベルサイユ」が持つロココの遺伝子
今回張り替えを行ったのは、マルニ木工のラインナップの中でも、トラディショナルなデザインを象徴する**「マキシマム(Maximum)」シリーズの「ベルサイユ」**と呼ばれるモデルです。
デザインの特徴
一見して目を奪われるのは、18世紀フランスのロココ様式をルーツに持つ優美なフォルムです。
- 猫脚(カブリオールレッグ):脚部は美しい曲線を描く「猫脚」スタイル。エレガントな雰囲気を醸し出すだけでなく、衝撃を吸収する機能的な役割も果たしています。
- ハイバック仕様:背もたれが高く設計されており、背中全体をしっかりと預けることができます。食事の場だけでなく、食後の団欒もゆったりと過ごせる設計です。
- 飾り鋲(びょう):生地を留める縁取りには、連続した鋲打ちが施されています。これがデザインの引き締め役となり、重厚感を演出しています。
張り替え前のコンディション(Before)
お預かりした時の状態を確認すると。
元々は深みのあるグレー(または経年変化したダークグリーン)の革が張られていました。
6脚すべてにおいて、座面の表面がひび割れ、部分的に剥離しているのが見て取れます。
長年の使用により、革の表面の摩擦や乾燥でウレタンの塗装が剥げてきてしまいます。
また、座面の中央が沈み込んでいることから、内部のウレタンフォームや底バネの弾力が低下していることも推測されました。
しかし、木部フレームに関しては、大きな問題がなく、脚のぐらつきや接合部の緩みはほとんど見られず、表面の塗装には小傷こそあるものの、良い味としてのヴィンテージ感が漂っていました。
3.生地の選定
オーナー様との打ち合わせの結果、今回の張り替えでは「オリジナルの雰囲気を壊さずに、生地の色を変えたいという事でしたので少し赤みの強いブラウンの生地で張り替えることになりました。
生地:ブラウンのフェイクレザー(合成皮革)
採用したのは、落ち着いたブラウンのフェイクレザーです。 以前の色味はシックで素敵でしたが、少し寒色寄りでした。今回、赤みを含んだブラウンを選定したことで、木部(フレーム)の塗装色との馴染みが良くなり、椅子の木部との統一感も出たと思います。
【フェイクレザーを選んだ理由】
ダイニングチェアは、食べこぼしや飲みこぼしのリスクが常にあります。 本革の風合いも魅力的ですが、メンテナンス性を考慮すると、水拭きが可能で汚れに強いフェイクレザーも椅子を使う環境によっては利便性が高まると思います。
近年の高品質なフェイクレザーは、本革に近いシボ(革の凹凸模様)感やしっとりとした触感を持っており、安っぽさを感じさせない商品もあります。
クッション材の刷新
見た目には分かりづらいですが、座り心地を左右する内部のウレタンも修理を行いました。
硬さの異なるウレタンを積層し、底付き感のない、沈み込みすぎない硬さに調整しています。
4.施工プロセス
今回の作業で最も神経を使ったのが、座面の縁を飾る**「鋲(びょう)打ち」**の工程です。
張り込み作業
まず、古い生地と鋲を全て取り除きます。木部を傷つけないよう慎重に行う必要がある、根気のいる作業ですが、その後、新しい生地を裁断し、椅子の形状に合わせて張り込んでいきます。
シワが寄りやすい部分も注意しながら、均一なテンション(張力)をかけながら張り込み、ステープルで固定していきます。
鋲(スタッズ)の取り付け
張り込みが終わった後、仕上げとして鋲を取り付けていきます。
この鋲は、生地の端を隠し、固定を補強する役割だけでなく、椅子の表情を変える装飾要素もあります。
今回は、アンティーク仕上げの連鋲(連結鋲)を使用しました。
新品のピカピカとしたゴールドではなく、燻(いぶ)したような落ち着いた色味を選ぶことで、長年使い込まれた木部の風合いとの調和を図っています。
鋲のラインが歪むと、椅子全体のシルエットも損なわれてしまうので、手先の感覚やガイドを頼りに、一本のラインを描くように打ち込んでいきました。
5.完成(After):雰囲気はそのままに、綺麗さを取り戻す
上記の工程を終え、椅子の張り替えが完了しました。
視覚的な変化
新しいブラウン色の生地は、照明の光を受けて滑らかな艶もあり、以前のくたびれた印象からはかなり変わりました。
背もたれの緩やかなカーブに沿って生地が張り込まれ、座面を囲む鋲のラインが、椅子の輪郭を際立たせています。
色彩の効果
張り替え前の暗い色調に比べ、ブラウンの生地になったことで、椅子全体が明るく、軽やかな印象になりました。
マルニ木工特有の深みのある木部の塗装色と、新しい生地のレザーのブラウンが良い統一感を出し、上品な「トーン・オン・トーン」の配色になったと思います。
座り心地の改善
見た目だけでなく、機能面も完全に回復しました。
へたっていた座面がふっくらと盛り上がり、座った瞬間に優しくお尻を支えてくれます。
背もたれにも適度な厚みが戻り、長時間座っていても背中が痛くなりにくい仕様となっています。
7.まとめ
東京都世田谷区・I邸の「マルニ木工・ベルサイユ」張り替え事例、いかがでしたでしょうか。
傷んでしまった座面も、適切な処置を施せば、新品同様の美しさを取り戻します。
今回のブラウンレザーへの変更は、クラシックな雰囲気を維持しつつ、内外部を綺麗な状態に戻し、色も以前とは違うものに張り替えました。
ご自宅に、古くなってしまったマルニ木工の家具、あるいはその他のブランド家具やノーブランドの椅子やソファは眠っていませんか?
「塗装が剥げている」「座面が破れている」「クッションがへたっている」 どのような状態でも、ご相談ください。
古くなってしまった椅子やソファを、お客様のライフスタイルに合わせた最適な生地と修理プランをご提案させていただきます。
【施工データ】
- ご依頼主:東京都世田谷区
- メーカー:マルニ木工(Maruni Woodwork)
- モデル:マキシマムシリーズ「ベルサイユ」ハイバックチェア
- 施工内容:
- 座面および背もたれの生地張り替え
- ウレタンフォーム(クッション材)の補修
- 飾り鋲(連続鋲・アンティーク調)の取り付け
- 使用生地:フェイクレザー(ブラウン)
- お客様の声
-
見違えるような仕上がりで大満足です!!
クッションも入り新品のようです。ありがとうございました。
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