ソファーや椅子の座り心地や見た目を左右したり、お気に入りのクッションカバーにも影響をあたえる、ウレタンやフェザークッション。
買った当時はフカフカだったり、座り心地のよかったソファーや椅子も、「なんだか最近腰が痛い」「片側の座るところだけ凹んでる」など、椅子やソファーは長く使っているとクッションやベルトなどに、どうしてもヘタリや劣化が出てきてしまうものです。
クッションやバネにヘタリや劣化が出ると、クッションカバーの生地にもヨレがでてきたりしてしまいますよね。
そこで今回は、クッションやバネ類にヘタリや劣化が起きてしまう原因や、出来るだけヘタってしまわない様にする方法、そしてもしヘタってしまったり、破損してしまったりした場合にご自宅でDIYにて出来る対処方法なども含めて、出来るだけ詳しくお伝え出来ればと思います。
長い間、気に入っている同じ椅子に座っていたら最近はクッションの弾力が少し無くなってきたみたい。。
そんな状態も自分でDIYで直せるのかしら??
DIY好きなら、簡易的に椅子のクッションを直したりする方法もあるので、ヘタリの原因やクッションの種類も含めて紹介していくから最後まで見てみてね!
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1.まずはソファーや椅子のクッションやバネの種類を知ろう
ソファーや椅子のクッションと、クッションを下支えするバネやベルトですが、これらも全て同じ素材や形ではなく幾つかの種類があります。
ご自分のソファーや椅子にはどの様なクッションなどが使われているかを知る事で、ヘタリなどの原因やクッションカバーのシワやヨレを防ぐための対策に、少しでも役立てて頂けると思います。
1-1 バネやベルトの役割と種類
バネやベルトは椅子やソファーのフレームに直接取り付けられていて、クッションを下支えするパーツになります。
クッション自体がヘタっていなくても、このパーツが破損していたり伸びていたりすると、座面や背凭れに沈みやヘタリを感じてしまいます。
エラスベルト
ゴム素材で作られているベルトです。
ウェービングベルトやエラスベルトなどと呼ばれていて、ゴムの伸縮によってクッション性を保っています。
長い間使って伸びすぎてしまうと交換が必要になりますが、ベルトの種類によって伸縮も違い、沈み込む深さも変わってきます。
Sバネ
S型の形状をしているSバネですが、横からみるとアーチを描く様に盛り上がっているものや、平らなものなど幾つかの種類がありますが、劣化してしまう時は一部だけ折れてウレタンクッションから飛び出してしたり、バネと本体のフレームを繋ぐ金具が外れてしまったり、という理由で修理に持ち込まれる事があります。
コイルスプリング
コイルのらせん状のスプリングを不織布などでパッキングされているポケットコイルや、アンティークのソファーや椅子などに良く使われる、独立したコイルスプリングを1つ1つ紐で縛り上げていくような技法の物や、その他鉄線で機械的に連結されているものなどがあります。
スプリングが連結される事で、荷重が分散されるので全体に均一なクッション性が望めます。
コイルの太さや高さなどで、硬さの調整を行います。
天然素材の麻ベルト
麻のベルトは力布とも呼ばれるベルトで、エラスベルトとは違いクッションを直接下支えせずに、コイルスプリングを下から支える為に使われることが殆どです。
アンティークのソファーや椅子などに良く使われるベルトになり、修理に持ち込まれる時は経年で切れてしまっている状態が多い素材です。
1-2 クッションの役割と種類
クッションは椅子やソファーの座り心地を直接感じることの出来る素材です。
それゆえに変化にも敏感な部分ではないでしょうか。
クッションには、ウレタン素材の物や天然素材のものなどがあり、一般的によく使われるウレタンクッションはウレタンの密度や硬度で柔らかさが決まります。
また、種類の違うウレタンクッションの按分を変え、貼り合わせたり、フェザークッションとウレタンを混ぜたりとする事で、硬さなどの調整が可能です。
チップウレタン
チップウレタンは製造工程で出てくるウレタンを粉砕し、細かくなったものを圧縮して作られたものです。
密度と硬度も高い為、耐荷重性に優れています。
椅子の座面にこのチップウレタン、その上に仕上げのウレタンを貼って仕上げたり、チップウレタンの上下に柔らかいウレタンでサンドイッチし、使ったりと多用途に使えます。
スラブやソフトウレタン
1枚の大きなウレタンをカットして使います。
厚みや硬度や密度も種類があり、一般的に使われる汎用性の高いウレタンクッションです。
何層かに貼り合わせてつかったり、オーダーで好みの形状や硬さに仕上げたりすることも出来ます。
柔らかすぎたり、薄すぎたりするウレタンクッションを1枚で使用すると、底突き感が出たりしてしまうので用途や椅子の仕様に合わせて、選ぶと良いでしょう。
モールドウレタン
金型にポリウレタンを流し込み、成型するウレタンクッションです。
その為、高密度のウレタンを作ることが出来るため、型崩れしにくく耐久性にも優れています。
ドイツのヒモラのソファーなどが、この工法を使ったウレタンを使用しています。
ただし、仮にモールドウレタンをオーダーしたり、修理で交換したりする事には、コストの面での負担は大きくなります。
フェザークッション
フェザークッションはダウンとは違い、羽根軸のあるクッションです。
フカフカとした上質な感触で少しヘタってしまったと思っても、空気を入れるようにポンポンと叩いてあげたりほぐしてあげると形が戻り、吸湿や放湿性が高いクッションです。
硬さや少ししっかりした形状を出したい時などは、ウレタンと混ぜて布でパッキングして作られます。
綿
綿のクッションには化学素材のものと天然素材のものとがありフェザーに比べて安価ですが、ヘタリ強度に関してはフェザークッションに比べて劣ってしまうかと思います。
密度の高い綿はそのまま椅子のクッションに使われる事もあり、低密度のものでもクッションの中身などにも使われることもありますが、ヘタリ強度は強くありません。
また、ソファーや椅子のウレタンクッションの上に仕上げ材として使われることも多い為、修理する側からすると汎用性は高い素材です。
馬毛
高級なアンティークの椅子などに使われる素材です。
半永久と言われるほど、丈夫で長持ちする素材でイギリスでは19世紀後半まで椅子のクッション材として使われていたと言われます。
高温の蒸気などにあて、カールさせた後にほぐしてクッション性を出し使用しますが、貴重な素材の為高級家具への使用に限られるでしょうが、寝具や椅子やソファーのクッション、高級自動車シートの中材などで高い評価を受けているクッション素材です。
2.クッションのヘタリやバネの破損するする原因
2-1 クッションがヘタってしまう理由とは
クッションやバネの種類が分かったところですが、ここでは流通量も多いウレタンクッションのヘタリについてお伝えしたいと思います。
ウレタンクッションと呼ばれるものは「ポリウレタンフォーム」というポリウレタンが原料ですが空気中の水分や紫外線などで起こる「加水分解」による黄ばみや硬化、そして荷重による「ヘタリ」これがウレタンクッションの劣化の主な2つの要因になります。
ウレタンクッションは、ポリウレタンを発砲して作り密度の低いウレタンクッションほどクッションの中に気泡が多く、軽く柔らかいものになります。
台所で使うウレタンスポンジなどは柔らかく、密度の低いウレタンですね。
柔らかければ、軽くて沈みも大きいので、その分ヘタリ易くなってしまうので、簡単に言うと硬いウレタン程沈みも少なく、ヘタリ難くなります。
ただ、ソファーや椅子は程よい座り心地が必要ですので、程よい柔らかさが必要な為、用途や環境に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
2-2 バネやベルトが劣化してしまう原因
クッションを下支えするバネやベルトですが、基本的には荷重をしっかりと支えられる構造になっているので粗悪品などのソファーや椅子でなければ直ぐに壊れるという事はなく、経年による劣化が主な原因になるかと思います。
ただ、ソファーや椅子は上で飛び跳ねたりする事を基本的には考えられていないので、小さなお子さんが飛び跳ねて、バネが外れた、折れた、もしくはベルトが切れた。
などの修理依頼はたまにありますので、くれぐれもその辺りはお気をつけください。
よくある劣化症状としては、ソファーの座るところのクッションが、ポケットコイルの仕様になっていて経年でクッションから折れたコイルスプリングが飛び出してしまった。
ベルトが切れてしまって、座面の片側だけ落ちてしまった。
Sバネが一本だけ折れてしまった。
などの事例があります。
バネ類はコイルの太さによっても耐久性が変わってくるので、ソファや椅子の購入時にはその辺りにも目を向けてあげると良い椅子やソファーの見分けも付くかと思います。
3.ソファーや椅子のクッションやバネのヘタリや劣化を防ぐには
では、クッションは荷重によってヘタってしまうから、年数が経ちヘタるのをただ待つしかないのか??
確かに長い年数ソファーや椅子に座っていれば、ある程度のクッションヘタリは仕方ありませんが、交換や修理にもお金が掛かってしまうので、少しでもご自宅でクッションのヘタリを軽減する方法を並べてみましたので、参考にして頂けたらと思います。
3-1 ある程度の密度がある硬めのクッションのソファーや椅子を選ぶ
硬すぎても好みに合わなかったり、座り心地が悪かったりするので、新しくソファーや椅子を買う場合やヘタってしまったソファークッションなどを交換する場合は、ある程度の硬さのあるクッションで作られたものを選ぶのも一つの手だと思います。
交換での修理をする時は、下に高密度で硬めのクッション、上の仕上げには少し弾力のあるウレタンクッションなどと多層構造にしてもらうとヘタリ寿命を延ばせる場合も多くあります。
3-2 いつも同じ場所に座らない
クッションのヘタリは荷重がかかっている時間や重さに比例して、大きくなります。
ですので、出来るだけ同じ場所にいつも座る事を避けて使用すると、1カ所だけヘタリが大きくなってしまったなどの問題は起きにくいと思います。
実際、私の部屋のソファーは犬が毎日同じ場所に座るので、片方のクッションは沈み込んでしまい、もう片方のクッションはまだまだしっかりしています(笑)
3-3 クッションの場所を入れ替えながら使う
この方法は、もっているソファーや椅子を選びますが、座るところのクッションが簡易的に外せて左右や中央などと同型で入れ替えが効くクッションであれば、1カ月に1度ほどクッションを入れ替えて使ってあげると使用頻度が1つのクッションに集中せずに、ヘタリの寿命を延ばす事が出来ると思います。
1人掛けの椅子やソファーなども同じ物を複数持っていれば、同様に入れ替えてあげると良いでしょう。
3-4 フェザークッションは形を戻してあげよう
ウレタンクッションではなく、フェザーを使用したクッションの場合は、ある程度ヘタリ難い素材であるのですが柔らかさがある為に型をキープしにくい場合もあります。
形が崩れてしまった場合には、空気を入れるようにポンポンと叩きながら成型してあげると形が戻り易く、ふかふかのクッション性もキープしてあげられると思います。
4.それでもクッションやバネが劣化してしまったら
ソファーや椅子を買う時に、クッションやバネの事も店員さんに確認したし、自宅ではクッションがヘタらない様に対応もしていた。
それでも、年数と共にクッションがヘタってしまったし、ベルトも伸びて座面が沈んでしまった。。。
そういった場合は、修理をするか買い替えるかという選択肢しかなくなってしまいますが、ここでは出来るだけお金を掛けずにDIYで修理をする方法などをご紹介していきます。
4-1 自分でクッションやバネの修理をする方法
ソファーや椅子のクッションは先にご紹介したように、フェザークッションやウレタンクッションが主にあります。
大きな手間やお金を掛けずに、ご自宅で出来る修理としてはウレタンクッションの修理の修理になりますので、ここではウレタンクッションの修理についてお伝えしたいと思います。
ウレタンクッションの修理にはヘタっているウレタンクッション全部をまるまる「交換」するか、今のヘタったクッションの上から、厚みとクッション性を増すために薄いウレタンを「補充」する方法があります。
ウレタンクッションの補充 ※あくまでご自宅で簡易的に出来る方法になります
ダイニングチェアの座面の場合
用意するもの
・椅子の生地を剥がす為の道具
ステープル剥がし(代用品でも可)
・タッカー (剥がした生地をもう一度張り直す為)
・ウレタンクッション(厚み5㎜~10㎜のもの)
・ウレタン糊スプレータイプ(ウレタン貼り付けの為)
・カッタ―もしくはハサミ(ウレタンカットする為)
・油性マジック (ウレタンに線を引くため)
ウレタンクッションの交換
ダイニングチェアの座面の場合
用意するもの
5.DIYと業者のクッションやバネの修理方法や仕上がりの違い
ここまで、ソファーや椅子のクッションやバネについてお伝えしてきましたが、ご自宅でヘタリや劣化の対策が出来るのであれば、コストの面からもDIYで出来た方がお得だと思います。
DIYでは出来ない範囲で、修理をするのであれば専門の業者に依頼する事になりますが、ではソファーや椅子の修理屋さんはDIYでの作業と何がちがうのか簡単にお伝えできればと思います。
コストは掛かりますが、しっかりとした修理をされたいという方はご参考にして頂けたらと思います。
5-1 ソファーや椅子に合わせて修理してくれる
クッションやバネの修理は、一見単純ですが材料や方法なども様々です。
そのため修理する椅子やソファーに合わせて、オーナーさんの希望を考慮して、クッション材を組み合わせたりと最適な方法をチョイスして修理をしてくれます。
5-2 クッションやバネ以外もチェックしてくれる
クッションやバネの修理以外にも、他の部分が傷んでいるかどうかも同時にチェックしてくれるので、仮に他の部分が傷んでいた場合に、他の部分も修理が必要か、もしくは修理せずに次回にしても大丈夫かなども詳しく聞けるので、椅子やソファーの状態を全体的に把握できます。
5-3 専門的な知識と材料を使って、経験豊富な職人が修理をする
やはりソファーや椅子の専門業者なので、こういった場合は、この材料をこの様に組み合わせて交換をすると、今後こうなる。
などと直ぐに判断が出来るので、仕上がりや修理した後の持ちにも影響が出てきます。
そして使う材料もネットなどで流通している既製品だけではないので、使う材質の違いなどが出る場合もあります。
ここまで、クッションやバネの種類から修理方法までお伝えさせて頂きましたが、いかがだったでしょうか。
ソファーや椅子のクッションは、年数が経つといつかはヘタリや劣化が来てしまうかもしれませんが、出来る限り良い状態を保ち、気に入ったソファーや椅子を長く使っていただけたらと思います。
もしクッションがヘタってしまったとしても、椅子の形状によってはDIY好きな方ならそこまで苦労なく補充や交換も出来るかと思いますので
是非楽しんでトライしてみてはいかがでしょうか。また、今回お伝えさせて頂いた知識を新しいソファーや椅子を購入するさいにお役立ていただけると幸いです。
ENJYOY CHAIR LIFE!