2026.01.18

デパドヴァ/Depadova. インチーザ チェア 本革の塗装メンテナンス シミや傷の修理

BEFORE

AFTER

修理内容

メーカー名

DePadova (デパドヴァ )

WEBサイト→

メーカ紹介

デパドヴァの家具は 歴史・伝統や地域・民俗文化を大切にし、
それらのテイストをバランスよく取り入れて、 エレガントなデザインに仕上げるのが特徴です。
「温もりある上質で心地良い家具」を提供することがマッダレーナ婦人がリードしてきたデパドヴァのポリシーです。
そのポリシーは2015年にボッフィ社のグループに加わった現在も引き継がれ、更なる発展を続けています。

モデル名
インチーザ チェア
種類
パーソナルチェア
修理工賃
¥30000〜¥60000
お預かり期間
3週間
配送方法
自社便
依頼地域
東京都大田区
修理内容

大田区のお客様よりご依頼いただいた、イタリアの名門ブランド「デパドヴァ(De Padova)」の名作、インチーザ(Incisa)チェアの革部分塗装修理の事例をご紹介します。

名作家具は、時が経つほどにその造形美が際立ちますが、一方で素材の劣化、特に「革」に現れるダメージは避けて通れない課題です。

今回は、インチーザの最大の特徴である「ヌメ革(外側の硬い革)」に付着したシミを、塗装修理という技術を用いてどのように再生したのか、そのプロセスを詳細に解説します。

【施工事例】デパドヴァ「インチーザ」ヌメ革部分のシミ塗装修理

はじめに:デパドヴァ「インチーザ」

イタリア家具デザインの巨匠、ヴィコ・マジストレッティ(Vico Magistretti)によって1992年にデザインされた「インチーザ」は、その名の通り「刻む」「切り込む」といった意味を持ち、馬の鞍(サドル)からインスピレーションを得たと言われています。

外側を覆う厚手で硬質なヌメ革と、内側の柔らかなファブリックやソフトレザーのコントラストがこの椅子のアイデンティティです。

ステッチが施されたヌメ革のシェルは、まるで彫刻のような佇まいを持ち、デスクチェアとしてもラウンジチェアとしても、空間に圧倒的な品格を添えます。しかし、この「ヌメ革」こそが、最もメンテナンスに気を遣うデリケートな素材でもあるのです。

ご依頼の経緯(大田区のお客様)

今回お預かりしたインチーザは、内側にはキルティング加工のファブリックカバーがあしらわれ、外側はキャメルカラーのヌメ革で構成されたモデルです。

今回はそのヌメ革部分が劣化していました。

  • 広範囲にわたるシミ: ヌメ革の下部や背面の継ぎ目付近を中心に、水濡れや油分、経年変化によるものと思われる色ムラが数か所確認できました。
  • 乾燥による色褪せ: 長年の使用により革の油分が抜け、表面がカサつき、本来の深みのあるキャメルカラーが部分的に白っぽく退色していました。
  • 細かな擦り傷: 椅子を移動させる際や壁に接触した際にできたと思われる、銀面(革の表面)の細かな傷がいくつか散見されました。

 

ヌメ革は植物タンニンでなめされた「素」の状態に近い革であるため、一度液体を吸い込んでシミになると、通常のクリーニングや消しゴムタイプのクリーナーで除去することは難しく、無理に擦れば銀面を傷め、かえって劣化を広げてしまうリスクがあります。

そこで今回は、革専用の染料と顔料を用いた「塗装修理(リカラー)」による再生をご提案させて頂きました。

ヌメ革の特性

ヌメ革の魅力は、その自然な風合いと「呼吸」するような質感です。

安易に厚塗りの塗装を施してしまうと、革特有の毛穴が埋まり、ビニール感が強くなってしまいます。

今回の修理では、**「革の質感を出来るだけ殺さず、シミだけを隠し、元々の色調を再現する」**というマッチングが求められました。

 

塗装修理のプロセス

ステップ1:クリーニングと脱脂

まずは革の表面に付着した古いワックス、皮脂、汚れを専用のクリーナーで除去します。

この「脱脂」が不十分だと、後の塗料が定着せず、剥がれの原因になります。

ヌメ革の状態を見ながら、素材を傷めない範囲で下地を整えます。

 

ステップ2:下地処理と傷の補修

脱脂と研磨を終えた後はシーラー(下地材)を塗布します。

また、銀面のめくれや擦り傷がある箇所には、革専用の補修剤を充填し、サンドペーパーで平滑に研磨します。こ

の段階で、指先で触れても凹凸を感じないレベルまで表面を整えます。

 

ステップ3:調色

職人は数色の原色を混ぜ合わせ、既存のパーツ(シミや変色のない部分)に最も近い色を作り出します。

乾いた時の色の変化も見越した、経験と感覚が必要な作業です。

 

ステップ4:吹き付け塗装(リカラー)

スプレーガンを用い、薄い層を何度も重ねるように色を乗せていきます。

一度に厚く塗るのではなく、霧状の塗料をふんわりと重ねることで、革のシボ感(表面の凹凸)を残したまま、シミだけを綺麗にカバーしていきます。

内側のファブリックに塗料が付着しないよう、厳重なマスキング(保護)も欠かせません。

 

ステップ5:トップコート(仕上げ)

色止めと表面保護のために、トップコート(クリア層)を吹き付けます。

今回はヌメ革らしい自然な艶感を再現するため、半ツヤ程度の落ち着いた光沢に調整しました。

これにより、摩擦等に対する耐久性が向上し、今後のシミの再発を防ぐ効果もあります。

 

施工完了:蘇ったインチーザの気品

修理が完了したインチーザは、施工前とは違う姿になりました。

  • シミの完全な消失: 背面やサイドに見られた不快なシミは、どこにプロットされていたのか判別できなく、綺麗に均一に整いました。
  • 質感の維持: ヌメ革特有の重厚な質感と柔らかさは維持されており、内側のモダンなチェック柄とのコントラストが再び鮮やかに蘇りました。
  • 一体感のある仕上がり: 傷があった部分も、補修と塗装によって滑らかに修復され、清廉な佇まいを取り戻しています。

     

     

    ヌメ革製品を長く愛用するために

    今回のように塗装修理で綺麗に再生した後は、日常のメンテナンスでその状態を長く保つことができます。

    • 水気を避ける: ヌメ革の最大の敵は水分や油分です。万が一飲み物などが付着した場合は、擦らずに乾いた布で吸い取るように拭いてください。
    • 定期的なブラッシング: ステッチの間や隙間に溜まった埃は、カビや劣化の原因になります。柔らかい馬毛ブラシなどで傷がつかない程度に定期的に埃を払ってください。
    • 直射日光を避ける: ヌメ革は日焼けしやすい素材です。窓際など直射日光が強く当たる場所は避け、風通しの良い日陰での場所に配置することをお勧めします。

       

       

      まとめ

      椅子やソファは、適切に手入れをすれば何十年と使い続けることができます。

      シミや傷があるからと諦めてしまうのではなく、専門的な修理技術を頼ることで、その家具の価値を再び取り戻すことが可能です。

      今回の事例のポイントは以下の通りです。

      • ブランド: デパドヴァ(De Padova
      • モデル: インチーザ(Incisa
      • 施工箇所: 外側ヌメ革部分
      • 施工内容: シミ、擦り傷補修、革専用塗装(リカラー)
      • 仕上がり: 革の風合いを残しつつ、シミをカバーし気品ある姿へ

       

       

      購入された大切な家具。その美しさを維持し、次世代へと繋いでいくお手伝いをさせていただけると、嬉しいです。

       

       

      お手元の家具について、気になるダメージはありませんか?

       

      「このシミは直せるのか」といったご不安があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

       

      家具の素材や状態を拝見し、修理プランをご提案いたします。お写真による概算見積もりも随時受け付けております。

      お客様の声
      丁寧なお仕事をして頂きとてもありがたいです。
      新品のようなレザーの質感で思っていた以上の仕上がりでした

      その他事例

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