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はじめに
ダイニングチェアは、私たちの生活に欠かせない家具の一つです。食事をする時間、家族団らんのひととき、来客時など、日常のあらゆる場面で使用されますが、その反面使用頻度も高く、劣化も早く進みがち。
「座面がへたってきた」「布地が汚れてきた」「革が破れてきた」など、椅子の悩みは意外に多いものです。
そんなとき、新しい椅子を買うという楽しみもありますが、今ある椅子を張り替えることで、美しく・快適に再生できることをご存知でしょうか?
本記事では、実際の家庭用ダイニングチェア5脚の張り替え事例をご紹介すると共に、椅子の張り替えを依頼する時の流れや、メリット、注意点などをわかりやすく解説していきたいと思います。
今現在、椅子が古くなってしまった、もうかれこれ10数年同じ椅子を使っている。など椅子の事が気に掛かっているなどの場合は、是非ご参考にして頂けると嬉しいです。
1.張り替えのメリットとタイミング
椅子の張り替えが必要なサイン:
- 座面が沈んで底突き感が出ていたり、クッション性がなくなってきている
- 生地の表面が剥がれていたり、破けて中のスポンジが見えてしまっている
- 布や革の汚れが染みついていて落ちない
- 気分や模様替えなどが理由で、デザインを一新したいと感じたとき
メリット:
- お気に入りの椅子のデザインを維持できる
- 家具廃棄を減らすサステナブルな選択
- 新品購入よりコストを抑えられるケースが多い
- 選ぶ生地によっては柄や色を変えたり、傷除けや撥水などの機能性も追加できる
【張り替えのまでの手順】
- 問い合わせや相談(メール・LINE・電話等)
- 椅子の状態確認後にお見積り
- 生地を選ぶ(布・合皮・本革など)
- 椅子の引き取りや郵送
- 張り替え作業
- 納品
【生地それぞれの特徴】
- 布:色や柄、素材感も豊富で撥水や防汚、ペットの引っ掻きに強い生地などもあり選択肢が豊富でナチュラルで温かみのある印象も与えます
価格:1mあたり3,000円程度~数万円のものもあります。選ぶ生地により価格の変動幅も大きいケースがあります
- 合皮:吸水性に乏しい為、飲みこぼしなどがあった場合もサッと拭き取ったりと汚れても比較的メンテナンスが容易です。飲食店などでも使われる事の多い素材で、柄物の合皮もあります。
価格:1mあたり2,500円程度~10,000円程度の物もあります。
安価なものからお値段高めのものまでありますが、価格高めの合皮は肌触りが良い物もあり、より本革に近い質感を感じたい時などにお勧めです。
- 本革:重厚感や高級感を出したい時はやはり本革。一般的な合皮や布と比べると厚みや質感が違い、お値段は他の素材と比べると高額になりますが、その分満足感を得られる素材でもあるでしょう。
ダイニングチェアの張り替え事例5選
事例1:布から黒い本革へとモダンに変身


日常使いで疲れ切った布の椅子
今回ご紹介するのは、ナチュラルな木製フレームにベージュ系の布地が張られていた、家庭用ダイニングチェアです。何年も使われてきた様子がよく現れており、座面には広範囲にわたってシミが広がり、背もたれにも黒ずみが目立つ状態でした。
この椅子は、家族の食卓を支えてきた「生活の道具」であり、同時にたくさんの思い出を刻んできた家具でもあります。しかし、経年とともに布地の汚れやへたりが蓄積し、見た目にも使い心地にも疲労感が出てきたことで、「古くなってしまった…」という印象が出てきました。
張り替え前の状態:
- 座面に茶色いシミが広がっている
- 背もたれの布が日焼けして色あせ
- クッション性の低下
- 椅子全体ががやや草臥れてしまった印象
そんな中、「本革で高級感を出したい」とのご希望で、張り替えをご依頼頂きました。
After:本革で生まれ変わったダイニングチェア
張り替え後の椅子は、黒の本革で全体的に締まった印象を与えて張替え前に比べてモダンな雰囲気があります。
素材そのものが持つ上品な艶と手触りが、椅子全体の存在感を格段に引き上げてくれたかのようです。布では出せない落ち着きと洗練が加わったことで、まさに“家具が一段階格上げされた”ような印象を受けました。
背もたれと座面のフォルムはそのままに、素材だけを本革に変えることで、木製フレームとのコントラストも美しく引き立ち、ナチュラル×モダンな印象
張り替え後の印象:
- ブラックレザーが光を柔らかく反射し、高級感を演出
- お部屋の印象も引き締まる
- 座り心地も向上し、ほどよい張りとクッション性がある
- 来客時にも堂々と使える「見せる椅子」に
本革に張り替えるという選択
本革は布や合皮に比べて価格はやや高めですが、以下のようなメリットもあります:
- 高級感や存在感のある素材
- 顔料系の本革を選べばメンテナンスもそう難しくは無い
- メンテナンス次第で10年以上持つケースも
この張替え事例は「椅子の印象を大きく変えたい」「大人っぽく高級感を持たせたい」とお考えの方にとっても参考にして頂けると嬉しいです。
Before/Afterの比較
| 項目 | Before(張替え前) | After(張替え後) |
| 素材 | ベージュ布(汚れあり) | ブラック本革(高級感) |
| 座り心地 | クッションへたりあり | 程よい張りと安定感 |
| 見た目 | 柔らかいが古びた印象 | 洗練されたモダンな印象 |
| 全体の印象 | 生活感が強い | デザイン家具のような存在感 |
椅子張り替えというのは修理という目的以外にも「空間の雰囲気を変え、暮らしの質を上げる」という事もできる、小さなリノベーションだと感じています。
今回のように、素材選びひとつでこの様に印象が変わることを楽しんでいただけたらと思います。
張り替え事例②:個性が際立つバイカラーエッグチェア(布 → 肌触りの良い毛足生地)



家庭のダイニングにおける椅子の役割は、単なる「座る道具」にとどまりません。空間の雰囲気をつくり、暮らしの印象そのものを左右する存在でもあります。今回は、丸みを帯びた独特のフォルムが特徴的な「エッグチェア」の張り替え事例をご紹介します。
Before:鮮やかなグリーンの布地が色あせ、シミも目立つ状態に
張り替え前の状態では、鮮やかなグリーンの布地が印象的ではあるものの、座面と背もたれのあちこちにシミや汚れが目立ち、へたりも進んでいました。特にダイニングでの使用が長年続いていたこともあり、食べこぼしや摩擦による汚れは避けられず、椅子本来の魅力が損なわれている状態でした。
フォルムそのものは非常にユニークで可愛らしく、スチール製の細脚との組み合わせもスタイリッシュ。まだまだ活躍できるポテンシャルを感じさせるチェアだけに、張り替えによって再生する価値は十分にありました。
After:異なる2色で張り替え、空間にリズムと上質感を
張り替え後の仕上がりは、見違えるような印象です。注目すべきは、2脚それぞれを別の色で張り替えた「バイカラー仕上げ」。
- 1脚は落ち着きのあるゴールドベージュ
- もう1脚は深みのあるデニムブルー
このように異なる色をあえて選ぶことで、ダイニング空間にアクセントと動きが生まれ、まるでカフェやギャラリーのような洗練された空気を演出しています。
使用した張り地は、毛足がやや長めで、肌触りがとても滑らかなファブリック素材。見た目にも柔らかく、実際に触れてみると心地よさが伝わる上質な生地です。
光の当たり方によって色の濃淡が変わり、椅子の表情が変化するのも特徴的。単なる「色の違い」ではなく、「質感と陰影の違い」も楽しめる仕上がりです。
張り替えの効果:椅子1脚で空間全体がアップデートされる
今回の張り替え事例はお客様の生地選びのセンスがより光る事例となりました。
空間全体の印象を刷新するリデザインとも言えるキュートな仕上がりですね。
単色ではなくバイカラーで上質なモケット生地にすることで
結果的にダイニング全体がアップグレードされるような印象を与えます。
特に「同じデザインで色違い」のスタイルは、マンネリ化しがちな家庭空間に変化を加えたい方におすすめです。
張り替え事例③|籐の背もたれが特徴的なクラシカルチェアを、英国GP&J Baker生地でアップデート


今回ご紹介する張り替え事例は、背もたれに籐(とう)素材を使用したクラシカルなダイニングチェアです。
重厚感のある木製フレームと繊細な籐の編み込みが特徴的な椅子で、長年大切に使われてきたことが伺えます。
座面には深緑色のファブリックが張られていましたが、全体的に色褪せと擦り切れが進み、張り替えのご依頼をいただきました。
英国の伝統ブランド「GP&J Baker」の生地を使用
今回の張り替えに選ばれたのは、イギリスの老舗テキスタイルブランド「GP&J Baker」の生地。独特の色彩と大胆なパターンが魅力のブランドで、ヨーロッパの伝統的なインテリアとも非常に相性が良い生地です。
張り替えには、赤・青・黒・白などの色がジグザグ状に並んだ幾何学的な柄のファブリックを採用。
籐のナチュラルな風合いと木製フレームの温かみを活かしながら、座面のデザインがモダンなアクセントとして映える絶妙なバランスを実現しています。
張り替えによって得られた印象の変化
張り替え前の椅子は、全体的に落ち着いた印象で、いわば「上品な古さ」が漂っていました。
一方、張り替え後は視覚的に華やかで遊び心のあるデザインへと変貌。
モダンアートのような印象すら与え、インテリアに個性と彩りを加えてくれる存在に生まれ変わりました。
クラシックな椅子に対して、あえて現代的なデザインの生地を組み合わせることで、アンティークとモダンが融合したユニークなスタイルが完成。
GP&J Bakerの持つエレガンスと遊び心が、椅子全体の印象をぐっと引き締めてくれています。
実用性と耐久性も向上
使用したGP&J Bakerのファブリックは、見た目の美しさはもちろん、耐久性にも優れた高品質な素材です。
座ったときの張り感も心地よく、奇麗なデザインだけでなく、日常使いの家具としての実用性も兼ね備えている点が、今回の張り替え事例の魅力のひとつです。
張り替えで叶う、新しい椅子の楽しみ方
今回のように、既存の家具の良さを残しながら、生地を張り替えることでまったく新しい印象を与えることができます。
特にクラシカルなデザインの椅子は、張り替えによって現代的な空間にもマッチするように生まれ変わらせることも可能です。
「長年使ってきたけれど、ちょっと雰囲気を変えたい」「部屋の模様替えに合わせて家具の印象もアップデートしたい」といったご要望にも、張り替えは非常に有効な選択肢となります。
今回の事例では、GP&J Bakerの生地によってクラシックな椅子がモダンにアップデートされ、また新たな10年を共にできる存在となりました。
ダイニングチェアの張り替えをご検討中の方は、ぜひ生地の選び方にもこだわってみてください。好みのデザインと確かな品質が、日々の暮らしをより豊かにしてくれるはずです。
張り替え事例④|イーセンアーレンのクラシカルチェア、座面の色調を優雅にチェンジ


イーセンアーレン(Ethan Allen)の家具は、アメリカを代表するクラシックスタイルの家具ブランドとして知られており、そのエレガントな曲線美と丁寧な作りは、世代を超えて愛され続けています。今回ご紹介するのは、そのイーセンアーレンの代表的なダイニングチェアの張り替え事例です。
Before:クラシカルな花柄、愛用されてきた座面
張り替え前のチェアは、濃いブラウンの美しい木製フレームに、クラシカルなタペストリー調の花柄ファブリックがあしらわれていました。座面はベージュをベースに、ピンク、オレンジ、グリーンなどが織り込まれた多色使いの生地で、まさに“重厚感のある上品な椅子”という印象。
長年愛用されてきたため、布地には少し色あせや擦り切れが見られたものの、全体の雰囲気は品格があり、むしろ“時を重ねた味わい”のようにも感じられる状態でしたが、生地が古くなってしまったので張替えて一新したいというご希望から、雰囲気は保ちつつも色味のトーンを変えるというアプローチで張り替えを行いました。
After:落ち着いたモスグリーンを基調に、気品と調和を演出
張り替え後の座面には、落ち着いたモスグリーンを基調とした生地を選ばれました。柄のテイストは従来と近く、クラシカルな草花のモチーフが同じように織り込まれていますが、色の印象がぐっと上品にまとまりました。
ベースカラーがグリーンになることで、椅子全体の印象は落ち着きを増し、木部との調和もより馴染んだ印象です。
重厚感をそのままに、現代の住宅インテリアにもしっくりと溶け込むような雰囲気へと進化しています。
生地の質感も高級感があり、光沢のある糸で織られているため、角度によってさりげなく表情が変わるのも魅力。
新しいけれど落ち着いた雰囲気で。家具だけが浮くことなく、空間に自然と溶け込んでくれると嬉しいです。
椅子の“らしさ”を残しながら、アップデートするという選択
この事例では、「あえて大胆に変えない」という張り替えのスタンスになります。
家具の持つテイストや佇まいを壊さずに、その魅力をさらに引き出すような張り替え生地を選ぶことで、椅子がこれからも末永く愛される存在へと生まれ変わることができました。
張り替えによるメリット
- 使い慣れたフォルムはそのままに、奇麗に蘇らせる
- 空間やインテリアの変化に合わせてカラーチューニング可能
- 高品質な生地による耐久性の向上
- 家具への愛着がさらに深まる
椅子やソファの張り替えも「リセット」ではなく「アップデート」と考えるとよりワクワクしてくると思います。
愛着のある一脚を、今の暮らしや空間にぴったりと合うかたちに調整する。
それが張り替えの楽しみの一つでもあるかと思います。
今回のように、“雰囲気はそのまま、でも印象は刷新”という繊細なリデザインも可能です。
張り替え事例⑤|IDÉEのスタッキングチェアにストライプ柄の彩りを加える


ご紹介するのは、インテリアブランドIDÉE(イデー)のスタッキングチェアを、ポップなストライプ柄合皮で張り加工した事例です。
この椅子は、木製の背と座面が一体型になった非常にシンプルなデザインで、脚部は細めの金属パイプ。いわゆる“ミニマルデザイン”の椅子ですが、複数脚を積み重ねて保管・運搬できる「スタッキングチェア」として、飲食店やワークスペースなど色々なシチュエーションで活躍しそうな汎用性の高い椅子です。
その一方、シンプルゆえに傷や経年変化が目立ちやすく、また何脚も並べたときに「無機質な印象」が出てしまうことも。
この事例では、そんなスタッキングチェアにポップストライプの合皮を新たに張り、まったく異なる印象に生まれ変わらせました。
張り加工前
張り加工の前の状態では、木部の表面にうっすらと傷や色ムラが目立ち始めていました。
特に座面のあたりには擦れや染みのような跡もあり、使用感も出ている印象。
また、脚部の金属も酸化によって部分的にくすみが出ており、椅子全体の見た目に清潔感が少し不足している状態でした。
After:ストライプ柄の合皮でビジュアル刷新&実用性も向上
今回選ばれたのは、赤・オレンジ・黄色などの暖色系を基調とした、ストライプ柄の合皮素材。
光沢を抑えたマットな質感で、派手になりすぎず、あくまで上品な雰囲気を保ちつつ、インテリアの中でアクセントとしても機能する色柄です。
合皮素材は、ちょっとした飲みこぼしなどがあっても水拭き可能でメンテナンス性も高く、摩耗にも強いのが大きなポイント。
擦り過ぎたり、水分過多は良くありませんが、家庭用としてはもちろん、店舗やオフィスなど不特定多数の人が使用するシーンでも、活躍する素材です。
座面と背もたれの一体型のフォルムに薄くウレタンを張り、その上から生地を丁寧にフィットさせることで、違和感なく自然な張り上がりとなり、もともとのデザインを壊すことなくアップグレードすることができました。
張り加工前の無機質な印象から一転して、華やかで楽しい印象に変化。
お部屋の中で自然と視線を集める存在となりました。
椅子を「張る」という選択肢の魅力
もともと生地が張られていなかったスタッキングチェアに、あえて張地を施すというお客様からの面白い提案を頂きました。
量産型・工業製品的な印象を持つチェアに、手仕事の要素と個性を与えることで、お客様だけのオリジナルの存在に生まれ変わりましたね。
修理や張り替えが、古くなったり傷んだりした椅子やソファの再生という印象ですが、今回のように「張っていない椅子に新たに張る」という施工は、椅子を新しいデザインに変えるとても楽しい試みです。
家具を買い替えるのではなく、育てていくという感覚も持てるかもしれませんね。
また、色や柄の選び方次第で、椅子が持つ印象は大きく変わるので、あえて柄物を使用することで、無地では得られない印象を空間に加えることができました。
複数脚のご依頼であれば、色違いで張る「カラーバリエーション展開」も可能です。
インテリアの中にちょっとした遊び心や彩りを取り入れたい方には、ぴったりのリデザイン方法です。
今までの椅子の色やデザインに飽きてしまった、部屋をリフォームやリノベーションする際にソファや椅子の感じも変えたい。というケースなどに是非ご参考にして頂けたらと思います。

まとめ|張り替えは、椅子を「また使いたくなる」きっかけに
ここまで、椅子の張り替えについて5つのダイニングチェア張り替え事例交えてご紹介してきました。
痛んでしまったり、破損してしまったり、雰囲気を変えたいなどの理由で行った、張り替えを通じてそれぞれの椅子が、また気持ちよく使える存在に生まれ変わっていました。
張り替えは、家具の印象を手軽に変えることができる方法です。
特にダイニングチェアのように、日常的に目に入り、使う時間も長い家具ほど、少しの変化が暮らしの雰囲気にも影響を与えます。
今回のように、シンプルな椅子にアクセントのある生地を合わせたり、クラシックなデザインに上質なファブリックを選んだり、機能面を重視して汚れにくい素材を選んだりと、選び方次第で印象や使い心地は大きく変わります。
「買い替え」という選択肢ももちろんありますが、「形が気に入っている」「思い出がある」といった理由で、できればそのまま使いたいという声も多く聞かれます。
張り替えは、そんな気持ちにも寄り添える手段のひとつです。
家具の張り替えというと、少し慣れない感じを受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、でも実際は、もっと気軽にできる手段の一つです。
少しの変化が、椅子への愛着をもう一度呼び起こしてくれる。
そんなふうに考えられると、張り替えの魅力がよりリアルに感じられるのではないでしょうか。
今回の記事が、椅子の張り替えを考えるきっかけやヒントになれば嬉しいです。